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看護師業務拡大に賛成 川崎医科大付属川崎病院長 角田 司

 今年3月末、厚生労働省のチーム医療推進会議(永井良三座長)は、「特定行為」を行う看護師の研修制度の大枠を示す報告書を了承した。従来、「医療行為」と、保健師・助産師・看護師が行う「診療の補助」との間のグレーゾーンとされてきた行為を「特定行為」として保健師助産師看護師法(保助看法)上に位置付け、特に看護師が完全に実施するために研修制度を確立するよう提言した。

 看護師が現在行っている行為の中には、「診療の補助」に含まれるか否かが明確でないものがあるとし、これらの行為を実施するに当たっては、医療安全のため看護師に教育を付加することが必要とした。

 報告書によると、特定行為は医師・歯科医師の指示の下、診療の補助のうち、実践的な理解力、思考力および判断力を要し、かつ高度な専門知識および技能をもって行う必要のある行為をいう。経口経鼻挿管の実施、気管に挿入しているチューブの交換、脱水の程度の判断と輸液による補正など、29行為が候補にあがっている。

 また特定行為を行う看護師は、厚労省が定める研修期間において「指定研修」を受ける義務がある。医師は包括的指示を行う中で、特定の患者について、病態の変化に応じた行為の内容が示されている手順書を看護師に示す。なお研修の内容や単位等については、指定研修機関の指定基準として省令等で定め、指定研修を修了した看護師には登録証が交付され、看護師籍にも登録される、とした。

 原徳壽医政局長は「高齢化により疾病は増大する一方、医師・看護師ら医療関係職種の人数は限られており、チームで効率的に医療を提供していく必要がある」と述べた。私も「患者を24時間見守っている看護師に特定行為が認められれば、患者のQOL(生活の質)向上につながる」と考える。

(2013年7月25日付山陽新聞夕刊「一日一題」)
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年07月25日 更新)

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