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(1)倉敷スイートホスピタル 病院、高齢者住宅、介護が一体化

花に囲まれた1階ホールで地域の人や利用者、子供らと話す江澤理事長(手前左から4人目)

江澤理事長(左)と松木院長

棗田リウマチセンター長(左)と岡村大成脳神経外科部長

 昨年8月、水島地区にあった倉敷広済病院がJR中庄駅近くに新築移転。病院名、診療内容、施設機能が一新した。「スイートには優しい、親切という意味があり、想(おも)いやりの心を込めて皆さまをお迎えする病院です」と語る江澤和彦理事長。

 5階建て。1階は外来。内科、小児科、リウマチ科、糖尿病内科、整形外科、脳神経外科、歯科などがある。2〜3階は病室で196床全室個室。4階はサービス付き高齢者向け住宅80戸、5階も同住宅で特定施設入居者生活介護50戸。

 一番の大きな特徴は医療を提供する病院と高齢者住宅と介護が同居していること。住宅の個室にも病院の医師や看護師に直通の緊急コールボタンがあり医療と介護が一体となったサービスが可能。「サービスを受けるお年寄りにとってこれは医療、ここからは介護と分かれておらず、すべてのニーズに対応するため一つにし、住まいと合わせた三つを一体化し手術後のリハビリ、終末期のみとりまで全人的にサポートする運営を目指す」と江澤理事長。

 中庄への移転に合わせ地域で暮らす人々を支える在宅療養支援病院を指向する。高齢者の健康管理に力を入れ糖尿病内科、脳神経外科を新設、リハビリテーションセンターを充実させ理学療法士21人、作業療法士17人、言語療法士6人を配置。

 糖尿病治療では学会専門医、糖尿病指導士、管理栄養士らがチーム医療を実施、個別に薬物、食事、運動の指導を行い、合併症の予防、教育入院に取り組んでいる。川崎医大准教授から就任した松木道裕院長は「しびれなど糖尿病による神経障害への新薬の治験など最新治療を行っている」と話す。

 脳神経外科は脳梗塞のtPA(血栓溶解剤)治療、外来では頭痛、めまい、しびれ、物忘れ、パーキンソン症候群など高齢者に多い症状を中心に診療。

 リハビリテーションセンターは脳卒中、リウマチ、整形外科疾患が主な対象。手術後の患者の家庭、職場復帰に向けて日常生活の自立、残存する障害の改善、退院後の通院・在宅訪問リハビリにも力を入れている。

 病院の柱はリウマチセンター。日本リウマチ学会教育施設に認定され、指導医4人、専門医3人。薬物療法の内科、手術の整形外科、理学療法士、作業療法士がそろうリハビリセンターが連携して行う集学的医療を展開、30年を超える経験と実績を持ち、岡山大、京都大との共同研究、連携が進む。生物学的製剤でリウマチ治療は大きく前進。棗田(なつめだ)将光センター長は「痛み、腫れの消失、関節破壊の抑制、修復、日常動作の回復など寛解が増えており、岡山県内のリウマチ治療のセンター的役割を果たしている」と自負する。

 若い世代の多い地域なので小児科も新設、地域医療を担う。

 4階のサービス付き高齢者住宅を訪ねた。「毎日が楽しい」というは入居1年の男性(84)。「前は糖尿病治療で通院していましたが、今はエレベーターに乗るだけ。院長先生の投薬治療で血糖値も下がりました。便利で安心できます」。フラワーアレンジメント、茶道、料理、写経のサークルに入り、カラオケも上達。食事もおいしいと言う。

 江澤理事長は全国老人保健施設協会常務理事を経験、全国のリーダーの一人。地域包括ケアシステム構築の中で医療と介護の結びつきの在り方を考え、まちづくりとしてスイートタウン構想を現実化した。「病院の医療の力を充実させ、その上で医療と介護が一体化して、一人ひとりの尊厳の保障が実現する」と話す。

倉敷スイートホスピタル(電話086―463―7111)
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年09月02日 更新)

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