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(4)関節リウマチ(保存療法) 天和会松田病院整形外科医長 松田和実

まつだ・かずみ 倉敷青陵高、川崎医大卒。1994年1月から天和会松田病院に勤務、現在整形外科医長。日本整形外科学会整形外科専門医。

 関節リウマチは全身の関節に起こる関節炎で、腫れや疼痛(とうつう)があり進行すれば破壊がみられ変形が出現します。多くは20歳代後半より発症し、女性が男性より2〜3倍多いと言われています。

 原因はハッキリしていませんが自己免疫疾患であるといわれ、自分の免疫システムが関節やその周囲の組織を敵として判断し攻撃するため破壊されるとされています。

 その経過の多くはゆっくりで一般的に左右対称性に侵されることが多いと言われますが、最近では単関節型のリウマチもよくみられます。

 症状の特徴は、いわゆる朝のこわばり(朝起きてから手が動きにくい)が30分以上続く、対称性の関節の腫れ・痛みが特徴で、初発症状(初めて起こる症状)があることが多いです。

 そのような症状のある方が受診された場合、当院ではレントゲン検査(リウマチ特有の関節破壊の有無)と血液検査(炎症反応、リウマチ反応等)をみて治療を開始します。

 リウマチ反応が強くない場合は消炎鎮痛剤(痛み止め)で経過をみます。実際にリウマチではない方でもリウマチ反応の陽性が出る方もいるからです。

 次にリウマチ反応が高い方、症状の強い方には少量のステロイド剤と抗リウマチ剤(DMARD)+消炎鎮痛剤を使います。DMARDは数種類ありますが、副作用もあり、また薬との相性もあり慎重に効果と検査を照らし合わせながら使います。

 ステロイド剤は量により劇的効果があるため、内科の先生の中にはステロイド剤を中心にされる先生も多いようです。しかしステロイド剤には副作用も多く手術時の合併症も増えますので当院ではできるだけ少量にしています。

 これで炎症がある程度コントロールできていても症状の悪化や破壊が進行する傾向がみられる場合は、最近では生物学的製剤を使用します。

 生物学的製剤は関節リウマチで関節に悪さをしているIL6という物質やTNFという物質を阻害し劇的な効果が得られ、初期であれば破壊された関節が修復されたり、もろくなった骨の強度を回復させる効果もみられます。ただよく効く薬は注意深く使用しなければ強い副作用もあり、また既往歴のある方には使えないケースもありますので医者とよく相談して使ってもらいましょう。

 最近ではこの生物学的製剤のおかげで従来はどんなに上手にコントロールしていても徐々に進んでいた関節の破壊を防ぐことができ、完全寛解(治癒)という状態に持ち込めるようにもなっています。ですからリウマチの治療をされても、病気とつきあっていこうという心構えでやっていきましょう。

 ただ、注意していただきたいのは関節リウマチと診断されて投薬治療を開始したら決して自己判断で薬を中止しないでください。また他の病気にかかられたときにも必ず主治医に相談してください。勝手に薬を中止して起こったリバウンドは元の薬の量では改善しないことが多く、リウマチが一気に悪くなることが少なくありません。定期検査と、継続した治療が関節リウマチを治す上で一番大切です。
(日本整形外科学会整形外科専門医)
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年09月16日 更新)

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