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ロコモ予防 食事、運動で骨を強く 岡山大病院整形外科野田講師に聞く

「運動器の衰えを自己点検してロコモ予防を」と話す野田講師

 老化による骨や関節、筋肉といった運動器の衰えで介護を要したり、そのリスクが高い状態を指す「ロコモティブシンドローム(通称・ロコモ、運動器症候群)」。高齢の女性に多い骨粗しょう症による「骨脆弱(ぜいじゃく)性骨折」も主な原因の一つ。その対処法などを、岡山大病院整形外科の野田知之講師に聞いた。8日は、日本整形外科学会が定めた「骨と関節の日」。

 ―内臓脂肪が蓄積するメタボリック症候群と並び、ロコモへの関心が高まっている。

 ロコモは高齢化などで、要介護状態となる人が急速に増えたため日本整形外科学会が注意喚起のため、2007年に提唱した。運動器が機能不全となり、要介護となった人だけでなく、そのリスクが高い人も含む。例えば、支えなしには椅子から立ち上がれなかったり、横断歩道を青信号で渡りきれなかったり。約4700万人がロコモかその“予備軍”との推計もある。

 ―自分がロコモかどうかチェックする方法は。

 先ほどの例に加えて「家の中でつまずいたり滑ったりする」「片足立ちで靴下がはけない」「15分くらい継続して歩けない」などに当てはまれば注意が必要。40代から症状が顕在化する膝や腰の痛みはロコモの初期症状と考えるべきだ。

 ―その原因は。

 老化に加え、脊椎が圧迫されて痛む脊柱管狭窄(きょうさく)、軟骨が擦り減る変形性関節症、骨密度が低下し、骨がすかすかになる骨粗しょう症が主な原因。骨粗しょう症になると、立った姿勢からの転倒などでも骨が折れる骨脆弱(ぜいじゃく)性骨折が起きる。骨折などで動けない状態が続き、筋力と歩行能力が落ちると、ロコモに陥りやすい。最悪の場合は寝たきりになるケースもある。

 ―骨粗しょう症の予防法は。

 食事面では、1日600ミリグラム以上のカルシウムを摂取することが重要。カルシウムの吸収を促すビタミンDも大切。サケやイワシ、キクラゲなどに多く含まれるほか、日光浴も効果的で、1日5~30分を週2回続けてほしい。片脚立ちも骨を強くする。左右1分間ずつ1日3セットが理想だ。ただ、これらはあくまで一般論。まずは整形外科を受診し、骨密度に応じた食事や運動、薬物療法の指示を受けてほしい。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年10月05日 更新)

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