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(2)岡山ろうさい病院 外来をカラーコーディネート

オレンジ、グリーンなどのシンボル色にカラーコーディネートされ、明るい雰囲気の外来

児島半島を望む屋上庭園は入院患者たちの憩いの場になっている

(写真左から)清水信義院長、下田豊副院長、山本博道副院長、岸本卓巳副院長

 「小児科の診察室はそちらのピンク色の桃の奥ですよ」

 案内に従って新棟1、2階の外来を進むと、廊下ごとに各診療科が区別され、それぞれカラーコーディネートされている。マスカットなどみずみずしい果物が描かれ、待合のソファもカラフルだ。

 4~7階は入院棟だが、こちらも東西でオレンジとグリーンの病棟に分かれる。病室の54%は個室になり、ゆったりとした設計。ナースステーションも色分けされており、迷うこともない。

 新棟は7階建て延べ約2万1650平方メートル、358床。5月の開院に合わせ、病院表記を「労災」から「ろうさい」と改めた。「岡山市南部から玉野市周辺を主に担当する地域の病院ということで親しみやすく。街の中の病院というイメージにしたかった」と、清水信義院長は狙いを語る。

 老朽化していた手術室とICU(集中治療室)は3階に一体整備した。以前は別棟に分かれ、エレベーターで搬送しなければならなかったが、より迅速に術後処置が行える。

 手術室は7室。昨年の手術3000件強のうち、整形外科が約1000件を占める。特に患者が増えている人工関節手術に適したクリーンルーム設計の手術室を2室。さらに腹腔(ふくくう)鏡や胸腔(きょうくう)鏡を用いる手術や生検に対応し、モニター画面や機器を収納できる手術室も2室設けている。

 ICUは2床増の10床になり、個室もある。下田豊副院長(麻酔科部長)は「血液疾患などで合併症に注意しないといけない方もおられる。室内を陰圧(内部の空気を出さない)にも陽圧(外部の空気を入れない)にも切り替えできる」と説明する。

 放射線科も治療機器を一新した。エックス線やCT画像で病変の位置や形状を確認し、より精度の高い放射線照射を行う画像誘導治療を導入。正常組織にかかる放射線量を減らし、局所に集中して強い治療効果を発揮できるようになった。

 また、呼吸器や内臓は呼吸に伴ってどうしても治療中に位置がずれるが、患者が息止めしているときに照射する「アブチェス」という装置も新設した。

 「放射線が当たる範囲を狭くできる。副作用の少ない、いい治療ができるはず」と、山本博道副院長(放射線科部長)は早期治療開始を目指して準備、調整を急いでいる。

 ろうさい病院はアスベスト(石綿)関連疾患の研究・治療で豊富な経験と実績を蓄積し、全国から中皮腫や肺がんの患者を受け入れている。新たに環境省から透過型電子顕微鏡の配備を受け、改修中の旧外来棟の一角に設置する計画だ。

 目に見えない石綿繊維の種類を調べ、数を算定する。「われわれのところに中四国の診断できない症例が集まってくる。現在でも誤診はほぼゼロだが、透過型電子顕微鏡はさらに診断を向上させるだろう」と、岸本卓巳副院長(内科部長)は期待する。

 旧外来棟の改修や中庭の整備を含めた2期工事は、来年早期の完成を目指している。

岡山ろうさい病院(電話086―262―0131)
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年10月07日 更新)

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