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岡山県内唯一の看護管理者 山田佐登美岡山大病院副院長に聞く 組織的サービス提供へ 看護師が調整を

山田佐登美・岡山大病院副院長兼看護部長

 医療、福祉分野の充実が叫ばれる中、重要な役割を担う看護師。「病院の日・看護の日」(12日)にちなみ、病院や福祉施設などの管理運営に関する専門知識を習得した、岡山県内唯一の「認定看護管理者」になった山田佐登美・岡山大病院副院長兼看護部長に看護師の在り方などを聞いた。

 ―看護管理者の役割は。

 診療報酬をはじめとする医療制度の改定や人口動態など、社会の変化を把握しながら組織内で何ができるかを考え、個々の看護師の関心や能力、モチベーションも踏まえた上で配置することが大きな仕事の一つ。看護師のキャリア開発や、理想とするケアができるよう職場環境も整えることが必要。こうした理論を構築できる能力を磨き、それを現場に伝える技術を習得しているかどうかでサービスの質は大きく変わる。

 ―制度ができた背景は。

 質の高い組織的看護サービスの提供に向け、求められるマネジメント法を理解した看護部長らを育てようと、日本看護協会が一九九九年に創設。今年三月現在、百九十六人が認定されている。看護師の管理職教育が早くから整備されてきた欧米に比べ、日本では現場で活躍できる看護師の教育を重視する傾向が強かったが、近年、組織人としてどう働くかという教育への期待が高まっている。

 ―今後の看護師の在り方は。

 医師や看護師、栄養士、薬剤師、理学療法士などが連携し患者を診る「チーム医療」が注目されている。専門職の力を借りることは効率を図る上でも必要だが、看護師はすべてを任せっぱなしにしてはならない。専門職をうまくコーディネートし、患者の全体像を把握してQOL(生活の質)の向上を考えることこそが、看護師の本来のスタンス。医師に対しては指示を仰ぐだけでなく、意見を求める姿勢が大切。

 ―患者との関係はどうあるべきか。

 「病は気から」という言葉があるが、患者の非科学的な部分に入っていけるのが看護師。生き生きと働くことが患者のケアにもなる。疲れ切った状態で接されても患者の苦痛は軽減されないだろう。看護師は常に命と向き合い、力不足で患者の人生を左右してしまうこともある。信頼関係を保ちつつ、患者の意思決定を支援する立場でありたい。


 やまだ・さとみ 岡山大病院実習調整担当師長などを経て、2002年4月から看護部長、05年8月から副院長。岡山大、県立大の非常勤講師も務める。03年に看護管理者に認定。岡山大医学部付属看護学校卒。岡山市在住。50歳。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年05月13日 更新)

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