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子ども皮膚感染症に注意 とびひ、水いぼ代表的 十分免疫なく長期化も 森実真・岡山大学病院助教に聞く

水いぼの除去用ピンセットを手に治療法などを説明する森実助教

 子どもは大人に比べるとまだ十分な免疫力が備わっておらず、感染による皮膚疾患にかかりやすい。とびひ、水いぼでも完治までに長期間を要する例があり、軽視できない。子どもに多い疾患の症状、治療法などを岡山大学病院(岡山市北区鹿田町)皮膚科の森実真助教に聞いた。12日は「皮膚の日」。

 代表的な皮膚感染症は、とびひ(伝染性膿痂(のうか)疹しん)と水いぼ(伝染性軟属腫)。「アトピー性皮膚炎に合併すると重症化しやすい」と森実助教は語る。

 とびひは夏場に多く、黄色ブドウ球菌などの細菌が水膨れやただれを起こす。患部を引っかくと、細菌が他の部位へ次々にうつる。特に「鼻の入り口は細菌が多く、いじらないで」と注意を促す。

 治療は抗生物質の飲み薬や塗り薬を用い、通常は数日で治る。「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が原因の場合は治りにくく、抗生物質を変更または2、3種類併用する」と話す。

 水いぼは「ポックスウイルス」が原因で、半球状のいぼ中心部にくぼみがある。引っかいてつぶすと、とびひと同様に他の場所へ感染する。「自然に治るが、1年以上かかることもある。他人にうつしたり、放置して増えるリスクも考え、早期に治療を」と勧める。

 特効薬はないため、治療は特殊なピンセットで水いぼを取る。昨年6月から麻酔テープの使用が保険適用となり「痛みなく取れるようになった」と言う。

 ウイルス性感染症では、近年流行している手足口病や伝染性紅斑(リンゴ病)にも要注意だ。共に特効薬はなく「手洗いやうがいの励行を」と説く。

 手足口病は、口の粘膜や手足に水疱(すいほう)が見られ、まれに髄膜炎などを併発する。飛沫(ひまつ)や便の接触を通じて感染し幼稚・保育園で集団感染が起こりやすい。

 リンゴ病はせきやくしゃみを介して感染、頬や腕、脚が赤くなる。妊婦が感染すると、胎児の組織などに水分がたまる「胎児水腫」や流産の恐れがある。

 森実助教は「あまり神経質になる必要はないが、保護者は子どもの皮膚を清潔に保つよう留意し、異常があれば早めに皮膚科を受診してほしい」と呼び掛ける。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年11月04日 更新)

タグ: 岡山大学病院

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