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国指定の難病・パーキンソン病 高齢化で増える患者 友の会岡山県支部・岡崎副支部長に聞く

全国パーキンソン病友の会岡山県支部の役員会で談笑する岡崎さん(右端)=岡山市

 手足の震えなどの運動障害が徐々に進む国指定の特定疾患(難病)・パーキンソン病。この病と闘うボクシング元世界王者、ムハマド・アリ氏がアトランタ五輪で全身を震わせながら聖火に点火したのを覚えている人も多いだろう。あれから十年。国内でも高齢化に伴い患者が増えている。岡山県内の認定患者は当時の倍以上の約千七百七十人(二〇〇五年度末)に上り、医療費が公費助成される四十五の特定疾患の中で最も多い。二十一日に倉敷市で第四回パーキンソン病フォーラムを開く全国パーキンソン病友の会岡山県支部副支部長の岡崎昭則さん(70)=岡山市金田=に、闘病生活について聞いた。

 米とイチゴを栽培する農家だった岡崎さんがこの病気と分かったのは一九八八年。五十二歳の時だった。

 数年前から異変は感じていた。手に力が入らずタオルを絞ったり歯を磨くのが難しい、書いた文字が小さくなる、手が肩より上に上がらない…。ただ、「五十肩と思い、深刻に考えていなかった」。治療は、近所の整形外科での痛み止めのみ。やがて、手が震え始め、総合病院の脳神経外科を受診し、パーキンソン病と診断された。

 病名を聞いたことはあったが、どんな病気かは知らなかった。病院の帰りに本を買って読み、「進行性の難病で、完治しない」と分かり驚いた。

 この病気は脳で神経伝達物質のドーパミンが不足するため、手足の震えや筋肉のこわばりなどが起きる。ドーパミンを薬で補充することが治療の基本。岡崎さんも処方された薬を服用すると、震えがピタリと止まった。

 薬がうまく効けば、長期間にわたり良い状態を保つことができ、健康な人と変わらない日常生活を送ったり、仕事をするのも可能だ。岡崎さんも、イチゴ栽培は発症から間もなくあきらめたものの、二ヘクタール余での米作りは昨年まで続けることができた。

 ただ、闘病が十八年に及び、「症状が進み、薬も効きにくくなった」とも感じている。症状に合わせ種類や量を増やすうち、毎日服用する薬は抗パーキンソン剤など十数種類に上っている。歩く時に足がすくんだり、座っていると体が自然と右へ傾く症状も出てきた。「いつか体が動かなくなり、寝たきりになるのではないか」。先行きに不安を感じている。

 特に、自律神経の障害で便秘がひどいのと、手が思うように動かず、トイレに間に合わないことがあるのが今の悩み。「つらさは当事者でないと分からない」と打ち明ける。

 そうした闘病生活の支えとなっているのが、同じ病と闘う仲間との交流だ。一九九八年から患者会の全国パーキンソン病友の会岡山県支部に参加。年二回の研修旅行などを通じ「自分だけでなく、皆が同じような悩みを抱えているのが分かり、気持ちが楽になった」と語る。

 岡崎さんは今回のフォーラムで患者代表の一人として体験発表する。闘病生活について大勢の前で話すのは初めてだが、「患者は多いのに、社会的な認知度はまだまだ低い。一人でも多くの人に知ってもらいたい」と引き受けた。「一人で考え込んでも仕方ない。励まし合って前向きな気持ちで病気と付き合おう」。こう訴えるつもりだ。

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 全国パーキンソン病友の会岡山県支部の問い合わせ先は事務局長の西中毅さん(086―274―3101)。

ズーム

 パーキンソン病 手足の震えや筋肉のこわばり、動作の緩慢などが主な症状。国内の患者は人口10万人当たり100~150人と推定される。発症のピークは50代後半から60代。例外的に20代で発症する人もいる。脳の黒質の神経細胞が消失し、神経伝達物質ドーパミンを作れなくなるために起こる。なぜ黒質に変化が起こるかは分かっていない。進行性だが、予後についてはほぼ天寿を全うできるとされる。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年05月16日 更新)

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