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脳卒中を予防する食事 高血圧や糖尿病、脂質異常症 危険因子避けて 川崎医大川崎病院栄養部 笹埜部長に聞く

笹埜三世里部長

 脳卒中を予防する食事について、川崎医大川崎病院(岡山市北区中山下)栄養部の笹埜三世里(みより)部長に聞いた。笹埜部長は10月下旬、岡山市で開かれた市民公開講座(日本脳卒中協会岡山県支部主催)で講師を務めた。脳卒中の危険因子となる高血圧、糖尿病、脂質異常症などを避けるポイントを四つ挙げた。

(1)肥満しない食事量にする
 体格指数(BMI)は22が標準とされる。「身長(メートル)×身長(メートル)×22」で標準体重(キロ)を算出。さらに「標準体重×生活環境に合わせたエネルギー(キロカロリー)」で一日当たりの適正なエネルギー摂取量が出る。

 例えば、身長165センチで室内活動が多い人(生活環境に合わせたエネルギー=27キロカロリー)なら、標準体重59・9キロ、一日の適正なエネルギー摂取量1617キロカロリーとなる。一日3食として1食当たり539キロカロリー。

 この人の例で現在の体重を仮に72キロとする。BMI25・8(軽い肥満)。標準体重まで12・1キロ落とす場合、笹埜部長は「無理なく、ゆっくりと減量を」と助言した。1カ月に2キロ(現在の体重の3%)減、6カ月かけて減量する。体脂肪1キロは7000キロカロリーなので、一日当たり470キロカロリーを余分に消費する目標を立て、食事の摂取エネルギー量を抑え、適度な運動を習慣的に行う。

(2)主食、主菜、副菜をそろえる
 厚生労働省と農林水産省が作った「食事バランスガイド」が参考になる。一日の分量として、主食は、ご飯なら中盛り4杯程度、主菜は肉・魚・卵・大豆料理から3皿程度、副菜(野菜、キノコ、イモ、海藻)は野菜料理5皿程度、また牛乳・乳製品は牛乳なら1本(200ミリリットル)程度、果物はミカンなら2個程度―が目安となる。

 笹埜部長は「人間の体の70%は水分で出来ている。起床時、食事中、食間、入浴前後、就寝前と小まめに水分をとり、血液をさらさらに」と注意を促した。

(3)減塩食に慣れる
 高血圧につながらないよう、塩分摂取は一日6グラム未満にする。食品成分表示にナトリウム量しか示されていない場合「ナトリウム(ミリグラム)×2・54÷1000」で食塩相当量(グラム)を算出できる。

 減塩食の工夫としては、酸味や、だし汁を効かせる(食塩の代わりにレモン、ユズ、米酢、昆布だしなど)▽香を効かせる(ニンニクやショウガで下味を付ける)▽味付けは食卓で行う(サラダや焼き物は塩分無し、食卓に準備した小皿のタレに付けて食べる)―などがある。

(4)よく噛かみ、早食いを控える
 早食いは食べ過ぎのもと。一口につき30回は噛み、食べ始めから15分以上かけて食事をとる。仕事やテレビを見ながらといった「ながら食い」も要注意、つい食べ過ぎてしまう。朝食抜きは昼食の食べ過ぎにつながるので朝食を必ず。

 笹埜部長は表のような記録を付けることも勧めた。日付、体重、歩数、食事時間、食事内容を書き留め、食事のバランスなどをチェックする。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年11月18日 更新)

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