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岡山県内福祉施設 スヌーズレン導入始まる ゆるやかな音楽、光るじゅうたん 五官刺激しリラックス 認知症や自傷に効果

穏やかな光や音楽でリラックスさせる「スヌーズレン」=旭川荘療育センター児童院

 光や音、香りなど五官を刺激する環境や装置を利用して、知的障害者らがリラックス効果を得る「スヌーズレン」の導入が、岡山県内の福祉施設などで始まっている。自傷行為の減少、認知症の進行を遅らせるなどの効果が確認されており、関係者は普及に力を入れている。

 「スヌーズレン」はオランダ語で「においをかぐ」と「うとうとする」の意味の単語を組み合わせた造語。一九七〇年代、オランダのセラピストが考案した。一般的な治療と違い、視覚や聴覚、触覚などへの刺激を楽しむ“遊び”である点が特徴。国内の約四十施設で導入されている。

 県内では重症心身障害児施設・旭川荘療育センター児童院(岡山市祇園地先)が二〇〇五年五月、病棟新築の際にスヌーズレン専用の部屋を設置。利用者はゆるやかな音楽が流れる薄暗い部屋で、床に並べたウオーターマットに寝転がり、きらきらと光るじゅうたんを眺めたり、職員に光る電球の入ったビニールチューブを体に巻き付けてもらったりしている。

 現在は約三十人が週一回ずつ、三十分~一時間楽しむ。同院職員谷川奈美さん(44)は「普段あまり表情のない人が笑顔になるなど、利用者のいい刺激になっている」と話す。

 浅口市寄島町の専門学校「福嶋リハビリテーション学院」は本年度中に、教育施設として県内で初めて、カリキュラムにスヌーズレンを導入する予定。

 一方で、光るじゅうたんが約百万円、ビニールチューブは約二十万円など装置は高額。専用スペースも必要なことから「本格的に始めるには費用が掛かり、関心はあっても及び腰になる施設は多い」と指摘する福祉関係者もいる。

 児童院の鳥越哲夫生活教育課長は「ここ一、二年で施設見学の申し込みが増えた。関心は確実に高まっている」。福祉関係者らでつくる日本スヌーズレン協会(事務局・栃木県)は「体験した人がリラックスできるかどうかが重要。手作りの装置で取り組んでいる施設の事例などを紹介し、スヌーズレンがもっと身近になるよう努めたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年05月19日 更新)

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