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(4)光生病院 地域包括ケアシステムを視野に

中心市街に立地している光生病院。12階建ての医療福祉複合棟(奥)には特養、サ高住が併設されている

医療福祉複合棟1階にある交流スペース

(左から)佐能量雄理事長・院長、松本祐蔵名誉院長、吉本〓雄院長代理、大本明美看護部長(〓は青へんに爭)

 光生病院(198床)はJR岡山駅から車で約5分の中心市街に立地している。新たな医療福祉複合棟(西館)が完成して1年がたつ。

 西館は、耐震構造の鉄骨鉄筋コンクリート12階建て延べ約1万2千平方メートル。1階には歯科のほか、居宅介護支援、訪問リハビリ、訪問看護・介護、ヘルパーの拠点、交流スペースを設けた。2階に透析室(40床、腹膜透析が可能)や岡山大形成外科と連携したリンパ浮腫治療センターがある。3階は250人収容の大ホール、4、5階が病棟。

 さらに同病院グループの社会福祉法人「ことぶき会」が運営する特別養護老人ホーム(特養、6〜8階部分、29床)とサービス付き高齢者向け住宅(サ高住、9〜11階部分、57室)が西館に同居している。

 佐能量雄理事長・院長は「サ高住などを同一建物に併設した病院は既にあり、私たちは先へ進むことにした」と語る。西館の特養で行っているショートステイ(利用定員1日当たり20人)と小規模多機能型居宅介護(登録定員25人)の両事業は「先へ進む」一例だという。

 急速に進む高齢化社会で「地域包括ケアシステム」構築の必要性が言われだした。介護の必要な高齢者も住み慣れた地域で可能な限り暮らせるように「医療」「介護」「予防」「住まい」「生活支援」のサービスを一体的に受けられる体制を指す。西館建設は同ケアシステムを視野に入れている。

 同病院は24時間対応の救急(2012年度受け入れ1955人)を行い、整形外科、外科など16の診療科を持つ。2011年11月に岡山大脳神経外科と共同で設立した神経回復センターでは、同大でパーキンソン病の脳深部刺激療法(DBS)を受ける患者に対し、術前・術後の検査とリハビリテーションを行ってきた。「年間約100人の患者さんが当院へ入院する。術前・術後の取り組みをさらに充実させたい」と松本祐蔵名誉院長(脳神経外科)は話す。

 内科は、誤嚥(ごえん)などで呼吸不全を起こした高齢の患者らに人工呼吸器で長期の呼吸管理をする体制を築いてきた。今年9月から睡眠時無呼吸症候群(SAS)に対する一貫した診断・治療体制を整えつつある。糖尿病治療では、医師、歯科医師、看護師、栄養士、臨床検査技師、社会福祉士らがチーム医療を行っており、「地域の開業医、住民の皆さんとも連携して進める」と吉本〓雄院長代理(内科)。

 看護部門は10月、一般病棟の体制が10対1から7対1(患者7人に看護師1人)に変わった。大本明美看護部長は「看護が手厚くなり、看護師確保にもつながる」と言う。

 岡山大の高度医療、2015年5月に開院予定の新しい岡山市民病院のER(救急外来)と連携し、地域の開業医ともつながり、救急医療から福祉まで継ぎ目のないサービスを提供する。目標の実現へ「職員の意識改革にも力を入れる」と佐能理事長・院長。今年9月、地域包括ケアに先駆的に取り組む佐久総合病院(長野県佐久市)の医師を講師に招いた職員研修会は、その表れだった。



 光生病院(電話086―222―6806)

(〓は青へんに爭)
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年12月02日 更新)

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