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がん患者の出産支援 岡山大病院、診療科の枠超え情報共有

 がん患者らが抗がん剤投与や、放射線治療を受けた結果、生殖機能が低下して妊娠ができなくなるのを防ごうと、岡山大病院(岡山市北区鹿田町)は22日、診療科の枠を超えた医師による「がん患者の生殖医療を考えるネットワーク」を発足させる。生殖医療に関する情報を共有し、卵子や精子、卵巣自体の凍結保存を望む患者をスムーズに産科婦人科に紹介する体制づくりを目指す。

 ネットワークでは同大病院産科婦人科や岡山市内の不妊治療専門クリニックの医師が、同大病院の乳腺・内分泌外科▽整形外科▽血液・腫瘍内科▽形成外科▽泌尿器科―の医師十数人と連携する。

 同大病院によると、将来的に妊娠の可能性があるがん患者には、治療で生殖機能が低下するケースがあるものの、卵巣や精子などを凍結保存しておけば、出産できる可能性があることを伝えるべきと関連学会が定めている。だが従来、国内医療機関では凍結保存の説明が不十分な場合もあったという。

 同大病院では卵子凍結を担う産科婦人科と、乳がん治療などを行う乳腺・内分泌外科などが今までも連携しており、患者を紹介するだけでなく、精神的な支援という面でも協力してきたが、より強固で広範囲な協力体制づくりに向け、ネットワーク発足を決めた。

 当面は同大病院や関連病院内で賛同者を増やすほか、会則づくりを進めた上で、来年1月に初会合を開く。

 同大病院での卵子や卵巣の凍結保存は主に、安全性を確かめる臨床研究として、それぞれ数人に実施している。今後は患者に必要な支援策や抗がん剤が生殖機能に与える影響といった研究も行うため、同大倫理委員会に包括的な研究の実施を申請する。

 同大病院内のネットワーク事務局は「勉強会なども開き、他の医療機関の医師にも関心を高めてもらえるよう努めたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年12月22日 更新)

タグ: がん女性お産岡山大学病院

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