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「特区」の介護機器(上) パワーアシストグローブ

人工筋肉を空気圧で操作し、握る動作を補助する手袋。専用ケースに収納したボンベから空気を送る

 岡山市は今月、「介護機器貸与モデル事業」をスタートさせた。国の「総合特区」指定を受け、市内の要介護者らを対象に保険適用されない最先端の機器を1割の自己負担で貸し出す「岡山限定」の試みだ。市が全国のメーカーから公募し、貸与の対象に選んだ三つの製品を紹介する。

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 力を全く加えなくても、手袋に包まれた指がゆっくりと曲がる。500ミリリットルのペットボトルを容易に持ち上げることができた。

 ゴムチューブなどを用いた人工筋肉を空気圧で操作し、握る動作を補助する手袋「パワーアシストグローブ」。頸椎(けいつい)損傷や老化などによって握力が落ちた人の利用を想定し、医療・介護用品製造のダイヤ工業(岡山市南区大福)が岡山大工学部と4年がかりで共同開発、2012年10月に商品化にこぎ着けた。

 サポート効果は握力に換算して2キロ。ペットボトルに電気シェーバー、ペン、スプーン…と、さまざまな生活用品に加え、手押し車なども不安なく使える。ゴルフのフルスイングができるようになったとの報告もあるという。「利用者の身体状態によっては趣味にも十分応用できる」と同社の開発担当者。

 人工筋肉は、ゴムチューブを伸縮性の異なる2種類の繊維で挟むように覆い、空気圧を加えることで湾曲する特性を持たせている。これを手袋の甲の部分から指に沿う形で装着、専用のボンベから空気を送ると、握る力が加わる仕組みだ。

 ボンベは長さ12センチと小型で、ベルトなどに取り付け可能なカバーに収納して持ち運ぶことができる。スイッチを手袋の手首部分に配置し、机などに押し付けてオン・オフを切り替えられる。装着感を高めるため、手袋は全てオーダーメードで対応する。

 貸与料は税込みで月額1785円。料金は2倍になるが両手のレンタルもできる。

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 パワーアシストグローブの貸し出し対象は、介護保険の要介護・要支援認定を受け、自宅で生活する市民。メーカー側と直接契約し、最長で2015年3月末まで借りられる。問い合わせはダイヤ工業(282―1245)。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年01月10日 更新)

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