文字 
  • ホーム
  • 岡山のニュース
  • 血中中性脂肪を低減 糖転移ヘスペリジン 林原生化研 健康食品向け需要視野 自社生産拡充へ

血中中性脂肪を低減 糖転移ヘスペリジン 林原生化研 健康食品向け需要視野 自社生産拡充へ

林原生化研が血中中性脂肪の低減作用を確認した「糖転移ヘスペリジン」

 林原生物化学研究所(岡山市下石井)は11日、かんきつ類の皮や実などに含まれるヘスペリジン(ビタミンP)に、血中の中性脂肪を低減する作用があることを確認したと発表した。動脈硬化の予防などに役立つとみられ、同社は健康食品向けの需要が高まるとみて本格生産に乗り出す。

 林原生化研の実験は、成人男性二十五人に就寝前の一日一回、水に溶けやすくした糖転移ヘスペリジン五百ミリグラムを与えた。血中中性脂肪値が正常値(〇・一リットル当たり百五十ミリグラム以下)を超えている八人の平均値推移を調べたところ、実験前に二二六・五ミリグラムだったのが一カ月後に一四二・六ミリグラムまで下がるなど、半年間に平均で約三割低下した。正常値以下の十七人には大きな変化はなかった。

 同社によると、糖転移ヘスペリジンは肝臓内でコレステロールと脂肪酸の結合を防ぐことで、血中の中性脂肪値が過度にならないよう調整する働きがあることも確認されたという。

 ヘスペリジンは従来も血管強化などの作用があるとされていた。水溶性が低いため用途が制限されていたが、同社が酵素作用によりブドウ糖を結合させる糖転移を施すことで水溶性を高める技術を開発し、一九九八年にライセンス供与を受けた東洋精糖(東京)が生産開始。主に缶詰の白濁防止剤などに利用されている。

 林原生化研は今年から健康食品向け需要を見込んで自社生産を開始。現在は年間数トンの生産体制だが来年度にも四十~五十トンまで拡充する方針。「すでに食品原料として使われており、幅広い用途が見込める」(同社)としている。

 同社は今回の実験結果を五月十五日に東京農業大(東京)で開かれる日本栄養・食糧学会大会で発表する。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2005年04月12日 更新)

カテゴリー

ページトップへ

ページトップへ