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学生目線でエイズ啓発 岡山理科大生、資料作成や講義

自ら作製した資料を手に今後の啓発活動を話し合う、左から大喜多さん、林さん、片岡准教授

 HIV(エイズウイルス)感染予防の啓発について研究する岡山理科大臨床生命科学科の学生2人が、検査の早期受診などを呼び掛ける啓発活動を学内で進めている。昨春実施した学生アンケートでは、4人に3人がHIV感染とエイズ発症の違いが分からないと答えるなど、理解不足を痛感。海外取材を基にした受診を促す資料の作成のほか“講義”も行い、若い世代のまん延防止に一役買う。

 4年の林桃子さん(21)=浅口市=と、大喜多桜子さん(22)=岡山市。県内のHIV感染者は7割以上が20〜40代で、感染に気づかず新たに広げている恐れもある。早期発見、治療につなげようと医師で臨床検査技師の片岡健准教授の指導で啓発方法を考えてきた。

 アンケートは同大生約200人に行い、9割以上がエイズに関する教育を受けながらも間違った知識を持っていることが判明。1割超が献血センターで感染検査を受けられるとも誤解しており、昨年11月に日赤で発覚したHIV感染者の血液輸血と同様の事態が起きかねない現状も浮かび上がった。

 2人は新規患者を劇的に減らしたタイを訪れたり、日曜に検査を実施する名古屋市のNPO法人を取材し、同10月、A4判1枚の啓発資料を作成した。感染から無症候期を経て発症に至る経過ごとに感染予防や検査、治療方法を記し、検査施設の一覧を掲載。学校や家庭教育に力を注ぐタイの事例のほか、献血センターでは検査できないといった注意事項も盛り込んだ。

 講義には同資料を活用し、学生を対象にお茶を飲みながら数人規模で1時間程度実施。2014年度は後輩にバトンタッチし、同大健康管理センターで定期的に行う計画にしている。

 「エイズは自分には関係ないと思っている人が多い」と大喜田さん。林さんも「社会的な関心が薄れている」と指摘する。

 指導する片岡准教授は「学生同士で話し合う形の方が学生には残るはず。14年度はその効果の評価も含めて取り組みを強化したい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年01月20日 更新)

タグ: 男性健康女性医療・話題感染症

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