文字 

がん化学療法看護 天和会松田病院看護師 門倉康恵 患者、家族の電話相談にも対応

かどくら・やすえ 倉敷中央高卒。川崎医大病院中央手術室勤務を経て、2001年から天和会松田病院に勤務。がん化学療法看護認定看護師。13年4月から岡山県立大大学院保健福祉学研究科看護学専攻に在学中。

天和会松田病院の外来化学療法室。テレビ付きのリクライニングシートで治療を受けられる

 現在、日本における死因の1位はがんであり、1981年から死因の1位を占めています。3・5人に1人ががんで亡くなっていることになります。しかし、がんと診断されても早期発見・早期治療によって治る可能性は高くなります。岡山県を見てみると、死亡原因の1位はがんですが、がんによる死亡率の低さは全国で第2位となっています(国立がん研究センターがん対策情報センター、2011年)。

 がんは手術だけでは取り切れないこともあります。そのために手術の前後に薬物治療や放射線治療を組み合わせていくのです。

 がん化学療法看護認定看護師は、この薬物療法を受けられる患者さんやご家族の皆さまに安心・安全に治療を受けていただくためのお手伝いをしている看護師です。治療中の投与管理はもちろん、副作用をマネジメント(管理)し、副作用症状が少しでも軽くなるようにサポートしています。

 がん薬物療法は以前までは入院して行うことが一般的でしたが、現在は外来で行うことも可能になってきました。治療を受けながら家事や仕事を続け、旅行をすることもできます。外来治療では、自分の口に合うものを食べることができ、自宅のお風呂にゆったり漬かれて、自分の枕と布団でゆっくり寝ることができます。

 外来で治療を受ける患者さんの増加に伴って、松田病院では2005年に外来化学療法室を立ち上げました。ベッド数は少ないですが、身近に看護師がいることで、患者さんの急な変化にもすぐに対応できる強みがあります。また外来治療では、患者さんは自宅にいるときに何かあったらどうしよう、という不安がつきものです。そこで、外来化学療法室の看護師は、患者さんや家族の方の電話相談にも対応しています。

 「ご飯がおいしくない…」「熱が出たんだけど…」「こんな症状があるけど、病院に行ったほうが良いかな?」などの相談を聞くたびに、患者さんや家族の方がいろいろな不安や迷いの中で治療を受けておられるのだと感じています。

 がんの治療を受けることは決して楽なことではないと思います。ですが、治療を受けるからといって自分の生活を変えたり、我慢ばかりをする必要もないと思います。がんの治療を受けながら、仕事や家庭生活、趣味や娯楽など自分らしく生きていけることが大切だと考えています。

 そのためには患者さんやご家族の思いや不安を、医師や看護師に伝えることが必要です。患者さんやご家族、医療者、皆で治療を考えていくことで、がんと向き合い、共に生きていくことができるのではないかと考えます。医師には言いにくい、聞きにくいこともあるかもしれませんが、そういう時こそ看護師を頼ってみてください。

 松田病院では、患者さんやご家族が気軽に相談できる場所として看護専門外来を開設しました。がん化学療法看護・がん性疼痛(とうつう)看護・緩和ケア・皮膚排泄(はいせつ)ケアの4人の認定看護師が対応しています。相談することがなくても構いません。顔を見るだけで、ホッとできることを心がけています。もちろん患者さんだけでなく、家族の方だけでも構いません。心よりお待ちしております。(がん化学療法看護認定看護師)



◇天和会松田病院(電話086―422―3550)
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年01月21日 更新)

カテゴリー

ページトップへ

ページトップへ