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高精度で放射線照射 がん治療システム導入 広島県立広島病院

県立広島病院が導入したCT(左奥)を備えたがん放射線治療装置

 県立広島病院(広島市南区)は、肺や肝臓などの腫瘍(しゅよう)を狙い撃つ「定位放射線治療」に効果を発揮する一連のがん治療システムを導入した。二台のコンピューター断層撮影装置(CT)を活用し、治療前に生じる照射位置の誤差を高い精度で補正できるのが特長。同病院によると、こうしたシステムの導入は全国初という。

 システムは放射線の方向や範囲をCTで決める「照射位置決め装置」と、CTを備えた「放射線治療装置」で構成。医師はまず、位置決め装置で撮影したデータを基に治療計画を策定。定位放射線治療では再度、治療装置のCTで照射位置を確認した後、病巣にエックス線を当てる。

 装置はそれぞれ別の部屋にあり、寝台とCTは同じタイプを採用。三センチ以下の肺や肝臓の腫瘍を放射線治療する際、誤差を五ミリ以内に抑制。他の部位に転移がなければ九割以上の確率で治すことができるという。

 従来の治療は照射位置を体の表面で確認しており、精度の点から同療法はできなかった。一連のシステム導入により、周囲の健康な臓器への被ばくを最小限に抑え、多量の放射線を短期間にあてる治療が可能となった。導入費は三億三千七百万円。

 同病院放射線科の門前芳夫医長は「新システムにより、治療の精度が高まり療法の選択肢も広がった。有効に活用し、がん治療に一層貢献したい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年05月27日 更新)

タグ: がん医療・話題

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