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ベトナムの子に遠隔医療 岡山大大学院、システム普及へ

岡山大がベトナムの小児病院に贈ったリアルタイムモニターシステム

 岡山大大学院の高齢社会医療・介護機器研究推進講座が、開発を手掛けたリアルタイムモニターシステムを活用し、ベトナムの先天性心疾患の小児患者に対する遠隔医療の普及に取り組んでいる。首都ハノイ市の国立ハノイ小児病院と連携し、同システムで遠隔地の患者の生体情報を把握、岡山大病院とも共有して適切な医療を提供する仕組み。2014年中に本格稼働させ、通院が困難な患者の在宅医療の充実を目指す。

 同講座の笠原真悟准教授(心臓血管外科)らによると、ベトナムは近年、経済成長を遂げる一方、病院数が少なく、人口10万人当たりの医師数は日本(12年末237・8人)の4分の1。道路事情が悪い上、農村部は自動車など移動手段も十分整っておらず「成人医療はもとより小児医療はさらに手薄」という。

 岡山大病院は07年ごろから、ベトナムの行政、医療機関などと交流。昨年、外交関係樹立40周年を迎えたこともあり、同国医療の一層の発展に向け、今回の取り組みを決めた。

 システムは、患者のベッドに敷いた専用マットで脈拍や呼吸数、体温などを計測し、インターネット経由で病院側が同時に把握できるのが特長。同講座などが開発し、昨年10月、ハノイ小児病院に寄贈した。現在はマット3枚を現地の小児患者でテストしており、本格導入後は岡山大病院もネット上で情報を共有し、診断に笠原准教授らを加えて治療法などをアドバイスする。

 この取り組みには岡山東ライオンズクラブ(山本俊和会長)も賛同し、講座を通じて23日、心電図モニター1台を同小児病院に贈った。笠原准教授は「継続的な支援を行い、未来ある子どもたちを一人でも多く助けられるよう努めたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年02月01日 更新)

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