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マダニからウイルス発見 岡山県、広範囲で感染リスク

重症熱性血小板減少症候群を媒介するとされるマダニ(岡山県環境保健センター提供)

 岡山県は14日、マダニを媒介とする「重症熱性血小板減少症候群」(SFTS)の独自調査で、備前保健所東備支所管内で捕獲したマダニ2検体からウイルスが見つかったことを県感染症対策委員会で報告した。昨年7月に患者が確認された2地域とは別で、県内の広い範囲で感染リスクがあることが判明。県はマダニの活動が活発化する春に向けて予防啓発を強化する。

 県内では昨年7月、岡山市と備中保健所井笠支所管内の80代女性2人が相次ぎSFTSに感染、うち1人が死亡した。県は昨年8月から1年かけて毎月、岡山市や美作保健所管内など7地点でマダニを捕獲し、ウイルスの有無を調べている。

 県は12月までに捕まえたマダニ約700匹から遺伝子を抽出して調査。野山に広く生息するフタトゲチマダニの成虫1匹の1検体と、体長1―2ミリの若虫5匹をすりつぶした1検体からウイルスの陽性反応が出た。

 厚生労働省が2月に公表した全国調査では、患者が報告されていない14道府県でもウイルスが確認されている。岡山県環境保健センターの岸本寿男所長は「フタトゲチマダニは岡山県内で生息が確認されているマダニの中で2番目に多く、他の地域でも感染の恐れがある」としている。

 県は今後も捕獲を進め、ウイルスを保有するマダニの種類や多い地域、季節性を調査。予防策を書いたちらしを県民に配ったり、医療従事者向けの研修会を開いて注意喚起する。

 SFTSは38度以上の高熱や食欲不振、嘔吐(おうと)などを発症。白血球や血小板が減少し、重症化すると死亡することもある。感染に気付きにくく医師が見逃す可能性も指摘されている。厚労省によると、14日現在、全国で55人が感染し21人が死亡している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年03月15日 更新)

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