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ヨーグルトが肝機能保護 岡山大グループ 中国・新疆産で確認

阿部浅樹助教授

 中国・新疆(しんきょう)ウイグル自治区の牛のヨーグルト「キテック」に肝機能を守る効果があることを、岡山大農学部の阿部浅樹助教授らの研究グループが三日までに動物実験で突き止めた。同グループによると、肝機能へのヨーグルトの効果を確かめたのは初めてという。

 グループは、世界の発酵乳を研究する宮本拓同大農学部教授がキテックから取り出した乳酸菌の新しい株を使ってヨーグルトを製造。その割合が全体の15%になるよう飼料に混ぜ、ラット(投与群)に九週間、毎日与えた。

 実験は、この投与群と、ヨーグルトを与えなかった非投与群それぞれに、肝細胞を破壊して肝炎を引き起こす薬物を注射。約一日後、肝細胞が破壊されるほど数値が上がる血中酵素のGPTとGOTを比較した。

 その結果、GPTは非投与群が九五〇に上がったのに対し、投与群は一〇〇。GOTも、非投与群一〇〇〇に対して投与群は一五〇にとどまった。ヨーグルトを与えず注射もしていない通常のラットはGPTが二〇、GOTは七〇だった。

 乳酸菌は整腸や免疫力向上などの効能で知られる。牛乳やヨーグルトなどに含まれる一般的な乳成分の「ラクトフェリン」は、肝炎に効果があるとの報告もある。

 阿部助教授は「予想以上に数値を抑えることができた。新株の効能とラクトフェリンの相乗効果だと思う。今後、詳しく調べたい」と話している。


新たな可能性示唆

 発酵乳に詳しい細野明義・日本乳業技術協会常務理事の話 今回の研究は乳酸菌の新たな可能性を示唆しており、高く評価できる。同様の効果が人間でも確認できれば、新しい保健機能を持った食品開発が期待できる。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年06月04日 更新)

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