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(9)岡山中央病院 救急専門医が24時間常駐 病診連携を強化

無事に退院を迎える母子(左)を笑顔で送り出す木村産婦人科部長と助産師

(上段左から)岡部亨院長、寒川昌信循環器科部長、金重総一郎センター長(下段左から)橋本英昭泌尿器科部長、木村吉宏産婦人科部長

 「小回りの利く地域に根ざした病院を目指している」。岡部亨院長が力を込めるように、救急専門医による急患の24時間受け入れや開業医との連携を実践。かかりつけ医の後方支援まで行う体制を整えている。

 救急は、各診療科の当番制ではなく、岡部院長ら専門医が交代で常駐。年間、約1500件を受け入れる。4月からは、脳外科領域や重度の外傷にも対応できるよう、3基目の最新鋭の血管造影検査機器を導入、治療はさらに厚みを増した。

 2001年、民間では全国初の地域医療支援病院の指定を受け、近隣の医療機関約150施設との病診連携を強化。

 連携する紹介医にはMRI(磁気共鳴画像装置)やCT(コンピューター断層撮影装置)などの検査機器、入院ベッド、手術室を利用してもらっている。在宅医療の継続が必要な患者の退院時には、主治医とかかりつけ医との共同カンファレンスを推進する。

 医療連携の責任者を務める寒川昌信循環器科部長は「かかりつけ医を支援し、国が力を入れている在宅医療の推進にも貢献したい」と話す。

 患者負担が小さいがんの低侵襲治療にも近年、力を入れている。

 12年8月に、放射線がん治療センターを開設し、IMRT(強度変調放射線治療)機能を備える高精度放射線治療装置(Vero―4DRT)を中四国で初めて導入。放射線をピンポイントで病巣に照射するため、正常な細胞への被ばくを大幅に抑えることができるという。これまでに約270人に治療をしている。

 前立腺がんの場合、一回の照射時間は約15分。週に5回行い2カ月程度かけて治療する。治療成績は従来の開腹手術に匹敵するといわれている。肺がんなら、一回15分、最短で1週間と、より短期で副作用も少ない治療が可能だ。

 金重総一郎センター長は「患者への負担が最も小さい治療法」と力を込める。

 1951年の開院以来の伝統と実績を誇るのが泌尿器科と産婦人科。

 泌尿器科は、岡山県内屈指の治療実績を誇る。尿のカルシウム成分などが結晶化し腎機能を低下させる尿路結石の治療には、開腹せずに特殊な衝撃波を患部に当て、結石を砕くESWL(体外衝撃波砕石術)を87年に中四国で初導入。年間700件以上の手術をしているが、そのほとんどが入院を要しない外来だ。

 「尿路結石はメタボリックシンドロームが影響するとされ、若年化が進んでいる。現役世代の患者にとって外来で治療できるメリットは大きい」と橋本英昭泌尿器科部長。

 産婦人科は年間約750件の分娩(ぶんべん)実績を誇る。24時間対応の無痛分娩、子宮筋腫などの腹腔(ふくくう)鏡手術も年間100件以上行っている。

 ベビーマッサージやヨガなどの教室を毎月開催。どんなお産を望むかなどを話し合い、授乳などの相談にも乗る。木村吉宏産婦人科部長は「助産師を交えたトータルサポートを心掛けている」と話す。

 岡部院長は「救急から在宅医療まで、ケアの連続性を視野に入れたきめ細かな医療を提供する」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年05月05日 更新)

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