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(4)退院前の在宅支援と環境整備 岡山リハビリテーション病院 医療ソーシャルワーカー 山崎規子

山崎規子・医療ソーシャルワーカー

退院前の在宅支援

 入院患者さんの約7割が脳卒中、約3割が骨折、平均年齢は75歳。大半の患者さんがある日突然発症し、治療は終わったがこれからどうなるの?という不安、そしてリハビリへの期待をもって当院へ入院されてきます。

 当院への入院には、「リハビリによる機能回復」の他、「今後の生活の準備」という意味も含んでおり、「医療」「介護」の両面からのケアが必要になります。当院でリハビリを経て退院される方は、自宅へ帰る方も施設等に入所される方も含め、9割近い方が「介護保険」を利用されます。

 介護保険の利用については、申請から利用に至るまで、手続きが必要になります。また、介護保険の対象外の疾患、若年の方等については、身体障害者手帳を取得した上での「障害者総合支援法」の利用が考えられるなど、患者さんに応じた支援が必要になります。

 当院には、入院患者さんの支援を行う医療ソーシャルワーカーが6名います。入院相談から、入院中の経済的な問題や不安、また前述した退院や施設入所への支援など他の医療機関、福祉施設等とも連携し、さまざまなご相談を受け付けております。

 退院は「生活」のスタートです。リハビリ・医療介護等について何かご不明なことがあれば、いつでもご相談ください。

環境整備       

 回復期リハビリ病棟では、自宅退院を大きな目標にしています。患者さんが安全で快適に生活できるように、家屋の改修や環境の工夫が必要になります。それには、介護保険サービス(住宅改修、福祉用具のレンタル・購入)を利用します。

 当院では、自宅への退院が決まった患者さんと一緒に、リハビリ・病棟スタッフ、ソーシャルワーカーが自宅へ訪問し、介護保険のケアマネジャーや、改修の業者と共に環境チェックを行います。

 患者さんの身体の状態に合わせて、玄関や居室、トイレ、浴室など、患者さんが過ごす場所の環境整備をします。車椅子の場合、敷居の撤去、スロープや段差解消機の設置、ドアを開閉しやすいものに変更したりします。歩行できる方の場合、手すりの設置や、玄関の上がりかまちに踏み台の設置などを行います。多くの方はベッドの使用や、ベッド横に置く簡易(ポータブル)トイレ等の福祉用具を検討しています。自宅で入浴をするために、浴室の環境整備も大切です。据え置き式手すりや、床と天井で突っ張るタイプの手すりもあり、工事をしなくても設置できるものもあります。患者さんからは「手すりがあって本当によかった」との声も聞かれています。

 また、退院前には自宅に帰られる患者さんはもちろん、必要に応じ施設に入所される患者さんにも退院時カンファレンスを開催します。患者さんとご家族、ケアマネジャー、サービス提供担当者、医師を含む病院スタッフ等が一同に集まり、患者さんの退院後の生活について検討します。薬剤師より服薬中の薬について、栄養士から食事についても説明を行い、安心して退院の日を迎えられるようにしています。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年05月05日 更新)

タグ: 脳卒中介護高齢者

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