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発毛異常の遺伝子特定 岡山大大学院 国枝教授ら マウス実験で究明

国枝哲夫教授

 ほ乳類が共通して持つ特定の遺伝子が、マウスの発毛異常に関係していることを、岡山大大学院自然科学研究科の国枝哲夫教授(50)=動物遺伝解析学=らの研究グループが突き止め、国際的な学術雑誌に論文を発表した。この遺伝子の機能が損なわれると、マウスの毛が短く細くなるとみられ、詳しいメカニズムが解明されれば、人の脱毛予防にもつながる可能性があるという。

 医薬基盤研究所実験動物開発研究室(大阪府)などとの共同研究。同研究所が以前発見した、毛が短く細い突然変異のマウス「YPC」の出現する原因を、遺伝子の位置を確かめる連鎖解析という手法を用いて調べた。

 一般的な長い毛のマウスとYPCを交配して生まれた「長い毛」と「短い毛」のマウス計千十匹について調べたところ、短い毛のマウスはいずれも、第一染色体にある「SGKL」という遺伝子の構造の一部が変化していることが分かった。

 国枝教授によると、SGKLと、あるタンパク質が相互作用することは分かっている。発毛を抑えるこのタンパク質の働きをSGKLが妨げることで発毛が促されるが、SGKLの変異でこの機能が損なわれ、発毛が抑えられたのではないかと推測している。

 国枝教授は「損なわれたSGKLの働きを補う薬などが発見されれば、脱毛予防や発毛につながるのではないか」と話している。


毛の形成研究一層深まる

 東京大大学院農学生命科学研究科の土井邦雄教授(実験病理学)の話 これまで、犬やラットなどで発毛異常の原因となる別の遺伝子が特定されているが、SGKLとの比較により、毛の形成メカニズムの研究が一層深まるだろう。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2005年04月17日 更新)

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