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鼻の穴に着け発音障害改善 新装置開発 岡山大・皆木教授ら 従来型より違和感軽減

新しく開発した発音障害を改善する装置

実際に装着した装置。鼻から漏れる空気を調節する

 岡山大大学院医歯薬学総合研究科・歯科補綴(ほてつ)学の皆木省吾教授と洲脇道弘・大学院生が20日、脳卒中の後遺症などによる発音障害を改善する装置を開発したと発表した。鼻の穴に装着する方式で、違和感が少なく、発音もはっきりする。28日から豪州で開かれる歯科分野の国際学会で発表する。

 発音障害は、のどの奥で空気を調節する軟(なん)口(こう)蓋(がい)や舌がまひし、空気が鼻に漏れるため、うまく発音できない状態。脳卒中患者のうち約六割に起こるとされる。

 開発した装置はプラスチック製で二~三センチサイズ。鼻孔に装着する部分に空気漏れを防ぐゴム製の弁を取り付けた。弁は言葉を発するときに一定の圧力を感じて閉じ、呼吸時は開く仕組み。

 患者三人に取り付けたところ、聞き取れる言葉が百音節のうち六十五から八十三になるなど、全員で発音が改善した。

 これまでは、口から特殊な装置を入れて軟口蓋を持ち上げる方法だったが、のどの奥まで入れるため違和感が強く、長時間の使用は無理だった。今回の装置はすでに実用可能で、効果を確かめながら順次治療に取り入れるという。

 皆木教授は「従来の装置以外で実用化にこぎ着けたのは世界初。患者のQOL(生活の質)向上や、社会復帰に役立ってほしい」と話している。


多くの患者に福音

 装置の臨床効果を実証した熊倉勇美川崎医療福祉大教授の話 鼻から漏れる空気を止めるアイデアはこれまでもあったが、弁をうまく活用し実現させたことは画期的。脳卒中患者だけでなく、交通事故による後遺障害などにも応用可能で、多くの患者にとって福音となるだろう。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年06月21日 更新)

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