文字 

反響呼ぶ認知症介護読本 能力引き出し訴え 家族の会岡山県支部が発行

認知症介護読本を発送する「認知症の人と家族の会岡山県支部」のメンバー

 呆(ぼ)け老人をかかえる家族の会(現・認知症の人と家族の会)岡山県支部が今春発行した認知症介護読本「認知症の人のこころ 家族・介護者の心」が反響を呼んでいる。「認知症の人も普通の人」との考えから、その心に接するケアを勧める内容に「ぜひ読みたい」と配布申し込みが相次ぎ、共感の声も返ってきている。

 A4判、二百八ページ。会員の介護体験を基に認知症の解説から症状の推移やケアのあり方を紹介、会員の手記も収めた。財布を置き忘れたのに身近な人がとったと言い張る「とられ妄想」に対し「一緒に探して気持ちを和らげるのが最善」と助言するなど、認知症の高齢者の気持ちを思いやり、残る能力を引き出すケアを訴えたのが特徴だ。

 三月中旬から会員や岡山県内の行政、図書館、特別養護老人ホーム、老人保健施設、グループホームに約三千部を配布。その後、一般市民からも希望が相次ぎ、三カ月で約五百部を送った。家族を介護する人のほか、施設職員もいたという。

 読んだ人からは「内容が具体的で分かりやすい」「介護で苦労していたが、対応の仕方が分かり救われた」「ケアのあり方を考えさせられた」などの反応が届いている。

 「予想以上の反響。それだけ介護に悩む人が多いということ」と、編集の中心になった前事務局長の有田博紀さん(71)=岡山市福富西。「認知症の高齢者も喜怒哀楽による行動の幅があり、問題行動すべてが認知症のせいではない。周りが症状を理解し気持ちを共有できたら、日常生活を一緒に過ごせる」とアドバイスしている。

 問い合わせは同支部(086―232―6627)。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年06月22日 更新)

タグ: 介護高齢者福祉医療・話題

カテゴリー

ページトップへ

ページトップへ