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(3)高血圧 岡山ろうさい病院 女性のための総合外来担当医師 田端りか

田端りか医師

 今回は高血圧についてです。

 高血圧は循環器疾患、特に脳卒中の最大危険因子です。高齢者やメタボリックシンドロームの増加、食塩摂取量などを背景にした日本人の高血圧患者は4千万人に上ると推定されています。厚生労働省の調査によると、高血圧の有病率は人口千人当たり男女とも第1位ですが、男性76・3に対し女性は85・4となっています。

 女性特有の高血圧として、妊娠高血圧と更年期以降の高血圧があります。

 妊娠高血圧症候群は血管の攣縮(れんしゅく)が基本的な病態であり、それに起因して高血圧をきたします。高血圧を示し蛋白(たんぱく)尿を伴う場合を妊娠高血圧腎症、けいれん発作を伴うものを子癇(しかん)といいます。妊娠高血圧症候群のうち軽症高血圧については、積極的な降圧治療は推奨されませんが、重症高血圧については、母体の脳や血管、腎臓などに臓器障害が起こるため、速やかに治療が必要です。

 女性は35歳くらいまで血圧が正常または低血圧であっても、更年期以降になると体重増加や女性ホルモンであるエストロゲンをはじめとするホルモンの変化などにより血圧上昇をきたすことは少なくありません。また、白衣高血圧や精神面での不安定さから血圧が上下しやすいことなどもこの時期の特徴です。

 エストロゲンには血管を拡張させる作用や、腎臓において水・電解質バランスを調節することで降圧させる作用がありますが、更年期女性ではエストロゲンの低下により昇圧の方向へと傾いていきます。この他、更年期に発症する動揺性高血圧の原因として、血中エストロゲン濃度の低下に基づく自律神経異常の関与が示唆されています。しかし、更年期における高血圧発症の原因はエストロゲンの減少のみならず、遺伝的背景や生活習慣、肥満などのさまざまな因子があって起こっていると考えられます。

 治療は、まず、減塩、食事内容、減量、運動、節酒、禁煙などの生活習慣の改善を図りそれでも降圧できない場合は降圧薬を用いることになります。

◇ 岡山ろうさい病院((電)086―262―0131)
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年07月21日 更新)

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