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乳がん手術を受けられた方へ おおもと病院総看護師長 乳がん看護認定看護師 大久保茂美

おおくぼ・しげみ 倉敷古城池高、岡山県立短大看護科卒。1988年からおおもと病院に勤務、2006年から乳がん看護認定看護師として活動。14年4月から総看護師長。

 おおもと病院(岡山市北区大元)では、乳がんの手術を受けた方に対して退院後の生活に必要な情報提供や相談できる環境づくりを行っています。

リンパ浮腫の早期発見

 乳がんの手術では、リンパ節の切除など治療によって手術した側の腕や手がむくむことがあります。そのため、リンパ浮腫の予防のために生活で注意していただくことを退院前にお話ししています。ただ、注意していてもリンパ浮腫は起こってしまうこともあるので、早い段階での発見とケアが必要になります。自分でリンパ浮腫に気づくことができる方法を説明しています=図参照

術後のリハビリテーション

 手術による「運動機能の障害を残さない」ことや「リンパ浮腫の予防」などを目的として、専用のパンフレットを用いて看護師が一緒にリハビリを行います。運動は、リハビリとしてだけでなく体調管理においても大切なので退院後も継続してもらえるようにお話しします。

補整のパットや下着を選ぶときに

 まずその方の希望を知った上で具体的な話をします。手術後の下着は、前開きで肌にやさしいソフト素材のものやカップやワイヤー付きのようなバストラインを整えるものなど、術後の回復段階に合わせた下着を紹介しています。パットは外見だけでなくバランスや衝撃の緩和の目的もあります。素材や形もさまざまあるので、実際に見たりつけたりして選んでもらいます。

 また入院中に手作りでパットも作れるようにしています。自分の下着で型をとって中に綿を入れ、重みは手芸用のビーズを中に入れて調節します。入院中に準備できると退院の時に着けて帰ることができます。

術後の自己検診

 乳がん再発や反対側乳房の異常を早期発見するために定期的な自己検診をすすめています。月に1回生理の後に、閉経後の方は自分で日を決めてチェックしてもらうようにお話しします。

相談できる場所と人を

 退院後は不安や悩みを相談できる環境が大切になります。入院中に院内での相談窓口や連絡先を伝えて、どこで相談できるのかを知ってもらうことが必要と考えています。がん看護専門看護師や乳がん看護認定看護師が予約による看護相談も行い、落ち着いて話ができる環境をつくるようにしています。

患者会

 「おおもと会」と「おおもとピンクリボンの会」という二つの患者会があり、定期的に会を開いています。同じ病気を経験した方の交流の場として、体験や悩みを話したり、情報交換などをしています。また医師、看護師、薬剤師や栄養士などさまざまな職種が参加して会をサポートしています。

 乳がんの治療はほとんどが通院で行われ、治療期間も長期にわたることが多い状況です。おおもと病院では乳がんを体験した方が病気とつきあいながら、自分らしく前向きに生きることができるようにチームでサポートしていく必要があると考えています。その中で乳がん看護認定看護師は、困ったら気軽に「相談してみよう」と思ってもらえる存在になりたいと思っています。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年07月21日 更新)

タグ: がん健康女性おおもと病院

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