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(11)おおもと病院 常勤医若返り 乳腺、消化器の専門医6人

山本理事長・名誉院長(左手前)を囲んで談笑する(左から)村上副院長、高間医師、松本副院長、磯崎院長

(上段左から)山本泰久理事長・名誉院長、磯崎博司院長、村上茂樹副院長(下段左から)松本柱副院長、高間雄大医師

 岡山県を代表する乳腺と消化器疾患の専門病院。年間の延べ外来患者は4万人以上、延べ入院患者は1万人を超える。いずれも病床数51床の規模にしては非常に多く、岡山県外からも患者が訪れる。

 外科、乳腺外科、消化器外科、胃腸内科、麻酔科、婦人科の6診療科があり、10人の常勤医がいる。麻酔科医以外の8人のうち6人が乳腺、消化器の各種学会専門医に認定されている。臓器別に医師の分業化が進む中、個々の医師がオールマイティーな技量を持つのが大きな特長。

 磯崎博司院長は「診断から治療まで、大病院と変わらない高水準の医療を提供している」と強調する。

 磯崎院長は、胃がんが最初に転移するセンチネルリンパ節を診断し、切除範囲を最小限に抑える手術の第一人者。2000年からこれまでに計約160例を手掛け、再発はゼロ。昨秋、慶応大などの研究グループによってその有用性が証明され、さらなる治療普及が期待されている。

 年間300件近い乳腺手術件数は中四国トップクラス。センチネルリンパ節診断による手術を乳がんにも応用するなど可能な限りの乳房温存を実践する。

 治療の最前線を担うのが村上茂樹副院長。検診、発見、手術、再発防止のための術後補助療法、再発後の治療、緩和医療まで、長期にわたり患者と向き合う。

 乳がんは薬が比較的効きやすく、使用できる薬も他のがんに比べ多い。ホルモン療法、抗がん剤、分子標的薬などを組み合わせて治療を行う。乳房が温存できない場合は、人工物を用いて再建する。

 村上副院長は、岡山県医師会の医療チームの一員として2度、東日本大震災の避難所に赴いた。患者の声に耳を傾けることの大切さをあらためて胸に刻んだといい、「乳がんの治療方法は複数ある。乳房再建を含め、どういう選択をすれば患者が最も納得できるのか、常に一緒に考えている」と話す。

 ここ数年で常勤医は若返り、働き盛りの40~50代が中心となった。

 松本柱(ささう)副院長は10年に着任。それまでは岡山県北の中核病院に勤務。県北では数少ないマンモグラフィーを読影できる医師の一人だった。「ここではほとんどの医師がマンモグラフィー読影医なので、ダブルチェックによる早くて正確な診断が可能。超音波検査と合わせごく早期の発見も多い」と自信を見せる。

 高間雄大医師は1998年から6年間、おおもと病院に勤務した後、香川大病院などで腕を磨き、12年に戻ってきた。糖尿病や生活習慣病を患う人が乳がんや大腸がんなどにかかりやすいことに着目。自身の血液データを解析するなど、糖質制限食の有効性について独学を続けており、「将来的には院内に専門外来を開設したい」と話す。

 大久保茂美総看護師長が乳がん看護認定看護師、森川華恵病棟看護師ががん看護専門看護師の認定を受け、患者のケアに最善を尽くす。

 がんや脳血管疾患など院内外のエキスパートを講師に招く健康教室は04年6月にスタートし27回を数える。磯崎院長は「これからも心のこもった講座を開き、住民の健康づくりに貢献する」と話す。

 創設者の山本泰久理事長・名誉院長は「医療は科学だけでは成り立たない。治療後の生活、そして老後まで終生、患者と付き合いたい」と、患者と二人三脚で歩む医療者の心構えを強調する。がん治療は日進月歩だが、この病院の理念は77年の開院以来、全く変わらない。

◇ おおもと病院(086―241―6888)
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年08月04日 更新)

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