(4)肛門周囲膿瘍(のうよう)と痔瘻(じろう) チクバ外科・胃腸科・肛門科病院副院長 嶋村廣視
ある日、肛門に痛みを感じて日に日にひどくなるようなら、…それは、肛門周囲膿瘍かもしれません。
肛門周囲膿瘍とは
肛門の周りが化膿してうみが溜(た)まった状態です。通常は数日の経過で腫れが起こり、次第に痛みが強くなり、発熱を伴うこともあります。深いところにうみが溜まった場合、痛みはあまりなく、最初のうちは風邪と似た症状を示す場合もあります。
原因疾患としては痔瘻が代表的ですが、皮膚からの感染である化膿性汗腺炎、粉瘤(ふんりゅう)、せつ・よう(おでき)などもよく見られます。
治療法は原則、切開排膿と抗生剤の投与です。せつ・ようはこれで治癒に向かいますが、他の疾患は炎症の“根”が残ることがあり後日、根治手術が必要となることが多いので、症状が楽になってもすぐに治療を中止しないでください。
また、一般には切開排膿で速やかに症状は改善しますが、重症になると(特にコントロール不十分な糖尿病などに多い)急激に感染症が進行し、致命的となることがあるので注意が必要です(フルニエ症候群)。当てはまる症状があるときはまず専門医を受診してください。
痔瘻とは
痔瘻はまず肛門と直腸の境目にある肛門腺に感染を起こします。これが切開(あるいは自然に)により、うみが排泄(はいせつ)されると炎症は治まり、症状は軽快しますが、多くは入り口が開いたままなので出口がなかなか閉じません。この状態を痔瘻(瘻とはトンネルのこと)といいます。肛門腺由来でないものとして、裂肛に伴うもの、クローン病などの炎症性腸疾患に伴うもの、白血病や、がんの化学療法中など感染に対する抵抗力が弱まった時に生ずるものなどがあります。
痔瘻の分類
瘻管の位置と走行の仕方により、日本では表のような分類が用いられます。
このうち最もよく見られるのは後方のIILsで、手術で完治することが多いですが、複雑なものや深部に瘻管が広がるものは手術も困難で再発率も高くなります。
次回は痔瘻の治療について紹介します。
◇ チクバ外科・胃腸科・肛門科病院((電)086―485―1755)
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。
肛門周囲膿瘍とは
肛門の周りが化膿してうみが溜(た)まった状態です。通常は数日の経過で腫れが起こり、次第に痛みが強くなり、発熱を伴うこともあります。深いところにうみが溜まった場合、痛みはあまりなく、最初のうちは風邪と似た症状を示す場合もあります。
原因疾患としては痔瘻が代表的ですが、皮膚からの感染である化膿性汗腺炎、粉瘤(ふんりゅう)、せつ・よう(おでき)などもよく見られます。
治療法は原則、切開排膿と抗生剤の投与です。せつ・ようはこれで治癒に向かいますが、他の疾患は炎症の“根”が残ることがあり後日、根治手術が必要となることが多いので、症状が楽になってもすぐに治療を中止しないでください。
また、一般には切開排膿で速やかに症状は改善しますが、重症になると(特にコントロール不十分な糖尿病などに多い)急激に感染症が進行し、致命的となることがあるので注意が必要です(フルニエ症候群)。当てはまる症状があるときはまず専門医を受診してください。
痔瘻とは
痔瘻はまず肛門と直腸の境目にある肛門腺に感染を起こします。これが切開(あるいは自然に)により、うみが排泄(はいせつ)されると炎症は治まり、症状は軽快しますが、多くは入り口が開いたままなので出口がなかなか閉じません。この状態を痔瘻(瘻とはトンネルのこと)といいます。肛門腺由来でないものとして、裂肛に伴うもの、クローン病などの炎症性腸疾患に伴うもの、白血病や、がんの化学療法中など感染に対する抵抗力が弱まった時に生ずるものなどがあります。
痔瘻の分類
瘻管の位置と走行の仕方により、日本では表のような分類が用いられます。
このうち最もよく見られるのは後方のIILsで、手術で完治することが多いですが、複雑なものや深部に瘻管が広がるものは手術も困難で再発率も高くなります。
次回は痔瘻の治療について紹介します。
◇ チクバ外科・胃腸科・肛門科病院((電)086―485―1755)
(2014年08月04日 更新)