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(12)笠岡第一病院 16年に特養と老健、病院を一体化

中村淳一呼吸器内科部長(中央奥)ら多職種のスタッフが集うカンファレンス。医療と介護の切れ目のない連携を目指している

2016年夏に完成予定の「ライフサポートセンター(仮称)」(左)。笠岡第一病院(右)と渡り廊下でつながる

(上段左から)宮島厚介理事長、橋詰博行院長、岡博昭副院長(下段左から)田中郁子施設長、野村良一管理者

 2016年夏、病院は大きく変わる。

 病院の経営母体である医療法人が運営する介護老人保健施設「瀬戸いこい苑」と、グループの社会福祉法人が運営する特別養護老人ホーム「瀬戸内荘」の2施設を集約した建物「ライフサポートセンター(仮称)」を新設し、病院と一体的に運営するのだ。

 病院の建物はそのまま残し、病院と渡り廊下でつながっている瀬戸いこい苑を取り壊し、跡地に鉄筋5階建ての建物を建設する。同一建物に、両施設のほか、デイケア、デイサービス、訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所などが入り、病院と渡り廊下でつなぐ。瀬戸内荘はサービス付き高齢者住宅に改装する。

 介護保険制度スタート(2000年)以前から力を入れている医療と介護、病院と在宅の連携を強化するのが目的。5月から工事を進めている。

 「井笠地域は全国平均よりも5年ほど早く高齢化が進んでいる。病院を核に各施設が連携し、患者さんの人生をトータルな視点で支えたい」と橋詰博行院長。

 瀬戸いこい苑の田中郁子施設長は「入所者と家族により安心してもらえる体制が整う」と力を込める。

 ハード整備に併せ、地域包括ケアシステムの円滑な運用を目指し、医師、看護師、医療ソーシャルワーカーら多職種のスタッフが集う医療福祉支援会議を5月から毎週開催。退院後の医療支援や介護サービスの調整などを行っている。

 笠岡第一病院いこい指定居宅介護支援事業所の野村良一管理者は「きめ細かいケアプランを作成するなどして、病院と在宅の橋渡しをしたい」と話す。

 常勤医は約20人。病床数(148床)の割に多い。こうした先進的な取り組みを行うことができるのは、小児から高齢者まで幅広いニーズに対応できる質の高い医療がベースにあるからだ。

 橋詰院長は手外科のスペシャリスト。腱鞘(けんしょう)炎が進行したばね指、指のしびれや痛みを伴う手根管症候群など、13年度の整形外科の手術数は県内最多の1546件を数える。複雑な症例は、岡山画像診断センター(岡山市北区大供)にCTやMRIの読影を依頼し、病院との二重診断で正確な治療を行っている。

 岡博昭副院長は、陰圧閉鎖療法や皮弁移植を手掛ける褥瘡(じょくそう)治療の第一人者。毎週、病院と瀬戸いこい苑で褥瘡回診を実施。近隣の医師らを対象にした褥瘡ケアの講師も務めており、「在宅の方を含め、地域全体で高齢者を支えたい」と話す。

 循環器、呼吸器、泌尿器科などの専門医が複数おり、心臓カテーテル検査をこなし、誤嚥(ごえん)性肺炎、心筋梗塞、尿路感染症といった高齢者に多い緊急性の高い治療も行う。

 神経内科による物忘れ外来、腰痛や座骨神経痛、肩や膝の痛みなどを診るペインクリニック内科を13年秋に開設し、医療体制をさらに充実させた。

 宮島厚介理事長は「倉敷、福山に挟まれた圏域で、どのような医療体制を整えるべきかを長年考えてきた。周辺の病院とも連携を深め、子どもからお年寄りまで、誰もが安心して暮らせる地域づくりに貢献したい」と話している。

◇ 笠岡第一病院(0865-67-0211)
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年08月18日 更新)

タグ: 介護笠岡第一病院

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