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禁煙治療の進め方 岡山済生会総合病院の川井医師に聞く パッチうまく利用を 仕事一段落や長期休暇 開始日選択も大切

ニコチンパッチを手に禁煙治療について説明する川井医師

 今月、たばこが値上げされたのを機に「今度こそ禁煙を」と思う人は多いだろう。その禁煙補助薬のニコチンパッチが六月から保険薬になり、禁煙治療が本格的に公的医療保険で受けられるようになった。岡山済生会総合病院(岡山市伊福町)で禁煙外来を担当する川井治之医師(内科)に治療の進め方を聞いた。

 二〇〇一年に開設された同病院の禁煙外来は六月、三人の医師が分担する体制を整えた。週一回の外来は一日三人の定員が七月まで予約でほぼ埋まり、禁煙治療に対する関心は高まっているという。「喫煙習慣の本質は薬物中毒であるニコチン依存症。本人の意思の力だけでやめるのは難しい」。前任の南岡山医療センター(岡山県早島町)でも禁煙外来を担当した川井医師は、保険適用の効果に期待する。

 保険で禁煙治療を受けるには国が定めた条件がある。まず、一日の喫煙本数に喫煙年数を掛け、二百以上になること。一日二十本なら十年以上で、喫煙歴の浅い人は保険の対象外とされた。さらに、「自分が吸うつもりよりも、ずっと多くたばこを吸ってしまう」など十項目のテストで五項目以上に該当し、ニコチン依存症と診断されることなどが必要だ。

 条件を満たせば、十二週間で五回の外来診療で、カウンセリングや禁煙の効果を確認する呼気一酸化炭素濃度の測定、薬の処方などを受ける。

 パッチは一日一枚、おなかや背中など見えない所に張り、ニコチンを皮膚からゆっくり吸収させ、イライラなどの離脱症状を和らげる。ニコチン含有量が異なる三種類の大きさがあり、次第に小さくする。「十週間まで処方できるが、これまでの例だと一カ月後にはパッチがなくても大丈夫と処方を断る患者が多い」(川井医師)という。

 パッチによるニコチン補充療法と並ぶ治療の柱が行動療法。喫煙の代わりに昆布やガムをかんだり、コーヒーの後の一服など喫煙が生活の流れに組み込まれている習慣を見直す。同病院は医師とともに保健師が指導に当たり、定期的に電話を入れ禁煙を支援する。

 川井医師がポイントに挙げるのは禁煙開始日の選択。「初診日から始める必要はない」という。仕事が一段落した後などストレスが少なく、時間的にもゆとりがある▽夏休みなど禁煙開始日の前後、特に開始後一週間を休みにできる―などの時期を勧める。

 費用は、一回の診療につき百八十~二百三十点(一点十円)のニコチン依存症管理料とパッチ代(一枚三五五・八~四〇一・八円)、初・再診料などを合わせ、三割の患者負担分が五回の治療で計約一万千五百円。全額患者負担だった従来の自由診療に比べ約一万八千円安くなった。他の医療機関の紹介状があれば、さらに千六百円弱下がる。

 課題は再喫煙予防。同病院で二年前に治療を受けた約八十人を調査したところ、禁煙維持率は治療を終えた時点で74・2%だったが、一年後は58・4%まで下がった。「酒の席で吸ってしまう人が多い。一本だけなら良いだろうと思わないこと」と川井医師。「なぜたばこをやめたいのか禁煙前に整理しておくと、苦しい時の支えになる」とアドバイスしている。

 岡山済生会総合病院の禁煙外来は毎週金曜日。予約制で、申し込みは内科外来(086―252―2213)。

岡山県内保険適用治療 53医療機関で可能

 保険での禁煙治療はどの医療機関でも行えるわけではない。国が定めた施設基準を満たし、社会保険事務局へ届け出ることが必要。岡山社会保険事務局は1日現在、岡山県内の53医療機関の届け出を受理している。

 施設基準は、敷地内が禁煙(ビルに入居している場合などは保有・借用部分が禁煙)▽禁煙治療の経験がある医師が勤務▽専任の看護師、准看護師を配置―など。

 このため、禁煙外来を設けている病院でも、喫煙所があるなどの理由で保険が利かない場合がある。こうした医療機関も全額患者負担の自由診療で禁煙治療を行うことはできる。

ニコチン依存症管理料届け出受理医療機関 (1日現在)

【岡山市】
岡山済生会総合病院(伊福町)
岡山赤十字病院(青江)
岡山市民病院(天瀬)
あしもり内科クリニック(下足守)
光南台クリニック(北浦)
安田内科医院(清輝本町)
渡辺医院(吉備津)
かわだファミリークリニック(東古松)
ごとうクリニック(大供)
川崎病院(中山下)
心臓病センター榊原病院(丸の内)
岡山旭東病院(倉田)
岡山県健康づくり財団付属病院(平田)
岡山第一病院(高屋)
池田医院(灘崎町彦崎)
岡山済生会県庁内診療所(内山下)
厚生町クリニック(厚生町)
井戸外科内科医院(今)
旭竜クリニック(中島)
湯原内科医院(湊)
大供診療所(大供)
済生会吉備病院(高松原古才)
佐藤内科(中山下)
大西内科消化器科医院(益野町)
佐藤医院(旭町)
原尾島クリニック(原尾島)
川口内科(大供)
ひまわり内科クリニック(下中野)
江森内科・循環器科(清水)
岡山医療センター(田益)

【倉敷市】
玉島協同病院(玉島柏島)
倉敷平成病院(老松町)
守屋おさむクリニック(玉島乙島)
三宅医院(児島赤崎)
みずしま診療所(水島南春日町)
平本胃腸科外科クリニック(真備町川辺)
弘中内科クリニック(羽島)
児島中央病院(児島小川町)
武田病院(連島町西之浦)
佐藤胃腸科外科病院(田之上)

【津山市】
中尾内科クリニック(沼)
日本原病院(日本原)

【総社市】
森下病院(駅前)
平川内科クリニック(久代)

【笠岡市】
猪木医院(十一番町)
笠岡第一病院(横島)

【美作市】
日本原病院湯郷診療所(湯郷)

【真庭市】
落合病院(垂水)
本山医院(下方)

【赤磐市】
桜が丘クリニック(桜が丘西)
うえの内科小児科医院(同)

【瀬戸町】
岩藤胃腸科外科歯科クリニック(沖)

【奈義町】
奈義ファミリークリニック(豊沢)
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年07月11日 更新)

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