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(6)むくみ 岡山ろうさい病院 女性のための総合外来担当医師 田端りか

田端りか医師

 むくみは「浮腫」と呼ばれ、「血管外の細胞外液が組織間質に異常に貯留した状態」と定義付けられています。

 局所性と全身性とがあり、局所性は腫瘍や血栓などで起こる静脈・リンパ管閉塞、炎症性、血管神経性による浮腫で、局所症状や所見から容易に判断できることが多いものです。

 全身性の浮腫は原因となる疾患(基礎疾患)があるもので、うっ血性心不全などで起こる心性、腎不全などの腎臓病で起こる腎性、肝硬変などの肝疾患で起こる肝性、甲状腺機能低下症などの内分泌性、アルコール依存や長期間の低栄養などから起こる栄養障害性、薬剤の副作用による薬剤性などがあります。

 これらの浮腫は、詳しい問診、血液検査、画像検査、専門医への相談などで診断がつくので、基礎疾患の治療をすることで改善します。また、基礎疾患などからくる浮腫以外の浮腫として、特発性浮腫があります。

 特発性浮腫は、女性特有のむくみで、周期性に起こり大きな日内変動を認めます。特に閉経前後の女性では、血中の女性ホルモンであるエストロゲン量の低下に伴い、食塩に対する感受性の低下や全身的な代謝の低下を来すため塩分や水分が貯留しやすい状況にあります。そのため、この年代の女性ではむくみの訴えが多くなっていると考えられます。

 また、思春期から20代の女性で、月経前の時期にみられるむくみは、一時的なエストロゲン分泌過剰によるもので月経前浮腫と呼ばれます。

 特発性浮腫に関する治療としては、まず、基礎代謝を高進させることが必要です。毎日、軽い運動やストレッチ、マッサージなどを続けることは効果的です。食塩の感受性低下に対しては減塩につとめ、バランスのとれた食生活を心がける、生活リズムを整える、良質な睡眠をとるなど、生活改善を図ることが大切です。そのうえで、むくみが引かない場合は漢方薬や利尿剤などの内服治療を追加することもあります。

◇ 岡山ろうさい病院(086―262―0131)
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年09月01日 更新)

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