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(6)発達障害(上) 倉敷成人病センター小児科 主任部長 御牧信義

御牧信義主任部長

 発達障害とは、主に低年齢で現れ始める行動やコミュニケーション、社会適応の問題を主とする脳の障害で、自閉症、注意欠如多動性障害、学習障害などと呼ばれます。

 すべてのこどもは一生を通して発達、つまり発達的変化を示しますが、発達障害の場合、小さい頃から発達の仕方が通常の子どもと異なっており、育児でうまくいかず、悩むことがあるかもしれません。その場合は一人で抱え込まず、周囲の人に相談すると良いでしょう。

環境をセットで考える視点が大切

 発達障害の症状は、本人の成長だけでなく、家庭や教育環境などさまざまな外的要因により、変わりうることはとても大切な視点です。十分な配慮が受けられず困難な環境で成長してきた場合であっても、周囲からの理解と適切なサポートが得られれば、長い一生のどの時点でも改善の光が見えてきます。

 そして長いライフステージの中、本人も周囲も変わっていくので、目立つ症状が変わったり、極端な場合、診断名が異なることもあります。つまり本人の状況は周囲の環境とセットで考えることが大切です。さらにお子さんの特性を見定める場合、支援の必要度、つまりどのくらいの支援が必要かという視点も欠くことができません。

 そして療育や教育でお子さんが変わることの手助けをすることはもちろん大切ですが、「周囲の環境を変える」努力も重要です。つまり「本人が変わる」ことと「環境を変える」ことは常にセットで考えなければならない時代であると思います。

治療はどうする?

 発達障害児への対応は薬物療法、行動変容、生活環境の調整などが行われますが、いずれの方法であっても周囲の人たちが発達障害に関する知識や理解を深め、お子さん独自の特性を理解することで、お子さん自身が自分を大切に思える、つまり自尊心が低下するのを防ぐサポート体制を作ることが最も大切です。そして「何ができない」を探すのではなく、「何ができる」、「どんな魅力がある」といったポジティブな視点は本人にも支援する人にとっても重要です。

 発達障害児に対して医療機関だけでできることは決して多くはありませんので多機関連携が大切です。必要な関係機関に必要な時につなげることは常に心がけていますので、困ったら医療機関で相談するのも一法です。

◇ 倉敷成人病センター(086―422―2111)
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年09月01日 更新)

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