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(7)裂肛(下) チクバ外科・胃腸科・肛門科病院外科部長 根津真司

根津真司外科部長

治療の方法

 裂肛が慢性的ではない時期(肛門ポリープ、肛門の狭さや炎症がない状態)では、保存的治療(薬による治療)が基本です。肛門に挿入する座薬や、注入軟こうを使用します。これらは炎症を抑えたり、止血したりする効果があります。また、軟便剤も使用することによって、便をほどよいやわらかさにして、排便時の痛みを軽減したり、裂肛の悪循環を断ち切ります。下痢を繰り返すことも、傷の治りを遅らせる原因になることがあります。

 裂肛が慢性化してくると手術療法を選択します。肛門ポリープが大きくなってくると、排便のたびに脱出するようになります。ポリープは悪性化しませんが、傷が治りにくくなることがありますので、そのような場合には切除術(肛門ポリープとともに難治となった傷・肛門潰瘍の切除)が選択されます。

 肛門が狭い場合には肛門を広げるような手術を行います。狭窄(きょうさく)(狭くなること)の原因や程度によって、用手肛門拡張術(麻酔をかけて指で肛門をストレッチして広げる方法)、内括約筋側方皮膚切開術(LSIS、括約筋の一部を切開して筋肉の緊張を緩め広げる方法)、皮膚皮弁移動術(SSG、狭くなった肛門に対して、皮膚の一部を肛門の中に移動して広げる方法)=表参照=などがあります。

裂肛になったら気をつけること 

 まず便通を整えることを考えます。繊維質を多く含んだものを食べるようにして、水分もしっかりとります。適度に運動することも良いでしょう。

 下痢が続いても傷の治りが悪くなりますので、暴飲暴食を避け、アルコールの飲み過ぎもよくありません。

 排便後の肛門の衛生にも気をつけます。できれば排便後の肛門洗浄がよいです。裂肛の部分に汚物が付着していると、傷の痛みが続きますし、治りも悪くなります。

 生活上の注意のみで便通が改善しない時には、緩下剤などの薬物療法も行います。

 痛みなどの症状が長く続いたり、排便困難を認めるような場合には、一度専門医での診察を受けることをお勧めします。

◇ チクバ外科・胃腸科・肛門科病院((電)086―485―1755)
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年09月15日 更新)

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