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乳がん治療で放射線専用着 川崎医大病院、着たまま照射

乳がん患者の放射線治療に使う専用着衣

 岡山県内屈指の乳がんの治療実績を持つ川崎医科大付属病院(倉敷市松島)は今月から、乳がん患者が放射線治療の際に着用する専用着衣を取り入れた。従来は上半身に衣服を着けずに治療しなければならなかったことから、患者の精神的ストレスは大きく「患部以外は隠したい」という声に応えた。

 着衣は放射線を当てる側の胸部が大きく開き、反対側に治療用の目印を確認する小さな窓があるのが特徴。開閉も簡単で、確認後は露出部が隠れ、着衣のまま照射できる。

 乳がん治療は一般的に手術と放射線照射がセット。手術後3〜5週間通院しながら、放射線治療を受けるケースが多く、同病院放射線科(治療)副部長の余田栄作准教授は「がんという病気に向き合いながら、日常生活のストレスにさらされ、精神的につらい時期」という。

 新たな乳がん患者は2010年、全国で約6万人と年々増加。40〜60代で患者数のピークを迎えるが、20〜30代の患者も少なくない。放射線治療は上半身裸で行うことがほとんどで、若い人を中心に不安やストレスを訴える声があった。

 専用着衣は、久留米大医学部(福岡県久留米市)が企業と共同開発。川崎医科大付属病院放射線科の医師が学会などで知り、導入した。今月から希望者に貸し出している。

 同科部長の平塚純一教授は「スタッフは男性が多く、配慮が足りない面もあった。患者さんの不安を少しでも解消することにつながれば」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年09月18日 更新)

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