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岡山大大学院 臨床専門医コース新設 07年度から全国初 研究を並行実施

 岡山大大学院医歯薬学総合研究科(岡山市鹿田町)は二〇〇七年度から、医学・歯学系の大学院博士課程(四年)に全国初の「臨床専門医コース」を設置する。医療現場での全人的な実践力と、優れた専門性を兼ね備えた臨床医を育成するのが狙い。地域医療の質を高めることにつながる取り組みとして期待される。(38面に関連記事)

 厚生労働省は、二〇〇四年度から、医師免許取得後、最低二年間(歯学系は一年以上)の初期研修を必修化した。このため多くの若手医師は、初期研修の後に内科、循環器科など、自分が専門とする診療科目についてあらためて研修を行っているのが現状だ。

 同研究科は、専門分野の研修後に博士課程に進んだのでは、年齢や研究意欲の継続の点で負担が大きいと判断。初期研修後すぐに博士課程に入学し、臨床と研究を並行して深められる新コースを設けることを決めた。

 また、内科、外科など各学会が認定する「専門医」の資格取得は、主に臨床医として現場に出たあと、所属する学会の基準に沿って研修プログラムをこなし、審査を受けるため、年数や手間がかかっていた。新コースができれば、大学院の教授スタッフや施設が、資格取得に全面的なフォロー体制を取ることが可能になる。とりわけ歯学系では、一般診療に加え、矯正やインプラントなど専門性を持った診療へと分化していく傾向がみられる。専門医が増えれば、社会的なニーズにも対応できる。

 一方、医学系の新コースでは、専門医の研修プログラムを地域内の病院と連携して実施する計画。地域医療に貢献できる臨床医の輩出に結びつくとしている。

 今夏以降、具体的なカリキュラムなどを決める予定。同科学務委員会委員長の松尾龍二歯学系教授は「常に新しい技術、知識を身につける意欲を持った人材を輩出したい」。二宮善文医学系教授は「各病院でリーダーとして指導力を発揮できる医師を育てたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年07月13日 更新)

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