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特定タンパク質破壊で血糖値低下 岡山大など確認、糖尿病新薬に期待

研究成果を発表する表准教授=岡山大

 体内の細胞間で情報を伝達する分子(ATP)を分泌させる特定のタンパク質を破壊すると、インスリンの効果が高まり、血糖値が下がることを、岡山大と九州大などの研究グループがマウスを使った実験で突き止めた。糖尿病の新しい治療薬の開発につながる成果として期待され、21日付の英科学誌サイエンティフィック・リポーツ電子版に発表した。

 特定のタンパク質は、研究グループが2008年に発見した「VNUT(ブイナット)」。細胞内の小胞にATPを輸送し、細胞からのATP分泌に重要な役割を果たしている。

 グループによると、VNUT遺伝子を破壊したマウスで実験したところ、ATPの分泌がなくなり、インスリンの出る量が上昇、血糖値が低下した。インスリン分泌を抑制する情報が伝達されなくなったためと考えられ、マウスにも低血糖などの副作用は確認されなかったという。

 グループは、VNUTの働きを阻害することでインスリンの分泌を促し、血糖値をコントロールできる可能性があるとみている。会見した岡山大大学院医歯薬学総合研究科の表弘志准教授(生体膜機能生化学)は「体への負担が少ない新薬の開発が期待できる。阻害物質として使える化合物の探索を進めたい」と話した。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年10月22日 更新)

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