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歯の根元の膿を高周波で殺菌 山下岡山大名誉教授

山下敦・岡山大名誉教授

 歯の根元に膿(うみ)がたまった患者に、高周波を照射して殺菌する新しい根管治療に歯科医の山下敦・岡山大名誉教授(歯科補綴=ほてつ=学)が取り組んでいる。従来の治療法に比べ、短時間でより高い効果が得られることを確認した。

 虫歯治療で詰め物をした際、詰め物の経年劣化や高齢化による免疫力の低下、殺菌が不十分だった場合などに細菌が活性化し、根の周りが化膿(かのう)して再治療が必要になる。再治療は詰め物を外し、根元の膿を出して消毒・殺菌した後で再び詰め物をする。殺菌には抗菌剤を使うのが一般的だが治療回数(平均4、5回)が多く、薬に耐性を持つ菌には効かないなどの課題があった。

 山下名誉教授は、徳島大病院などが同様の治療のため臨床試験を行っている高周波を使った治療(温熱療法の一種)に着目。ごく短時間患部に照射し、熱で殺菌している。

 2013年11月以降に治療した20症例のうち、85%で治癒がみられ、抗菌剤で20回治療しても効果がなかった難治性の患者でも数秒の照射で自覚症状がなくなったという。

 山下名誉教授は「患者の負担が大幅に軽減される。一般的な治療になるよう症例を重ねたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年11月07日 更新)

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