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ヒトの肝細胞増殖因子 ぜんそく治療に効果 岡山大病院講師ら確認

金広有彦講師

 ヒトの肝細胞増殖因子(HGF)に、重症の気管支ぜんそくの治療効果があることを、岡山大病院の金広有彦講師(47)=呼吸器内科=らの研究グループがマウスで確認、二十八日発表した。

 重症の気管支ぜんそくは、気道の炎症が慢性化して硬くなる「線維化」が進み、窒息などで死亡することもある。金広講師らは、タンパク質の一種で肝硬変や肺線維症などの治療に有効とされるHGFの応用を考えた。

 線維化させた実験用マウスに、ヒトのHGFを投与。投与しないグループに比べ、悪化の割合が七、八割抑えられ、線維化した部分はほぼ正常な状態に戻ったという。

 気管支ぜんそくは、吸入ステロイド剤などが治療に使われるが、重症化した場合は効果が薄いとされる。金広講師は「遺伝子に働きかけて体内でHGFを持続的に作り出せれば、新たな治療薬の開発につながる」としている。研究成果は米の呼吸器専門誌に発表した。


価値ある発見

 岩手医科大医学部の山内広平助教授(呼吸器病学)の話 HGFがぜんそくにも効果があるのは価値ある発見。従来の薬が効かない人に効果的な薬が生まれる可能性がある。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2005年04月29日 更新)

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