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「筋トレ、介護予防に有効」岡山の病院など報告 日本運動器リハビリ学会 慎重な検証求める声も

竜操整形外科病院で行っているパワーリハビリテーション=岡山市

介護予防を主題に意見を交わす日本運動器リハビリテーション学会の発表者

 今春の介護保険改正で、「要支援」の高齢者向けデイサービスなどに導入が可能になった筋力向上トレーニング。身体の衰えを防ぐ介護予防が目的だが、効果が認められる一方、疑問の声もある。十五、十六の両日、岡山市で開かれた第十八回日本運動器リハビリテーション学会では、介護予防を主題とした実践報告があり、全国の医療関係者五人が高齢者の筋力向上トレーニングなどについて発表した。

 竜操整形外科病院(岡山市藤原)の健康運動指導士・生田晶子さんは、腰やひざに障害のある患者がトレーニングマシンやボールなどを使い機能回復を図る「パワーリハビリテーション」の成果を報告した。

 対象は二〇〇三年十月から今年三月までに三カ月以上続けてリハビリを行った九十七人。年齢は五十五~九十二歳(平均七十四歳)と高齢者が多い。

 平均一年三カ月にわたり追跡調査したところ、十メートル全力歩行は平均八秒とリハビリ前に比べ二秒早くなり、最大一歩幅は左右それぞれ八二・二センチと十二センチ前後広がった。開眼片足立ちも右二十五秒、左二十七秒と十二秒程度伸び、身体機能の改善がみられた。

 生田さんは、痛みのためリハビリを中止したのは一人だけだったと報告。「医療でのパワーリハビリは医師が適切に処方すれば危険は少なく、高齢者の介護予防にも有効」と語った。

 このほか、静岡県の老人福祉センターは昨年、平均七十三歳の高齢者四十八人に、プールでの水中運動とマシンを用いた筋力訓練のトレーニングを週二回、三カ月間試みてもらった結果を報告。「筋力向上だけでなく、主観的健康感をみる活力や社会生活機能など健康関連QOL(生活の質)の平均値も改善した。閉じこもり防止が図れたのではないか」と結論づけた。

 一方、質疑応答では会場の医療関係者から「マシンを使ったトレーニングと、使わなかった場合の比較が必要」など、慎重な検証を求める声もあった。

 プログラムの座長を務めた加藤浩・吉備国際大保健科学部助教授は「介護予防を目的にしたトレーニングは、いかに長期にわたり続けてもらうかが鍵。生活の中に組み込み、充実感を持ち取り組んでもらうため、高齢者への声掛けなどコミュニケーションも重要」とまとめた。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年07月25日 更新)

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