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8歳女児に肺移植成功 6歳未満児脳死提供で岡山大病院

 臓器移植法に基づき脳死と判定された6歳未満の女児から提供された両肺と肝臓を2人の患者に移植する手術が14日、岡山大病院(岡山市北区鹿田町)で行われ、無事終了した。肺は肺胞壁に炎症を起こし、ガス交換ができにくくなる特発性間質性肺炎を患う女児(8)=関東地方在住、肝臓は急性肝不全の50代女性=広島県在住=に移植された。

 岡山大病院で6歳未満の臓器提供者(ドナー)から提供された臓器を移植したのは初めて。6歳未満のドナーから10歳未満の患者への脳死肺移植は、昨年11月の京都大病院に次いで国内2例目。

 両肺の移植手術は大藤剛宏・肺移植チーフの執刀で午前8時42分に始まり、午後4時に終わった。早ければ1カ月後にも退院できる見込み。女児は出生直後から呼吸障害があり、昨年10月に日本臓器移植ネットワークに登録していた。

 会見した大藤チーフは小児同士の移植について「臓器は成長とともに大きくなり、移植としては理想的」と説明。手術前の女児に「(提供してくれた)友達の分まで元気になって生きていこうね」と伝えるとうなずいたといい、「元気になったら学校に行きたい」とも話していたことを明らかにした。

 肝臓は八木孝仁・肝胆膵(すい)外科教授が執刀、午前10時29分に始まり、午後7時55分終了した。女性は移植以外に救命法がなく、今月8日、日本臓器移植ネットワークへ登録していた。手術後、八木教授は「患者は非常に重篤で最後のチャンスだった。家族は非常に感謝していた」と述べた。

 日本臓器移植ネットワークによると、ドナーの女児は大阪大病院に拡張型心筋症で入院。心臓移植の待機患者としてネットワークに登録するとともに、海外での移植に向けて渡航準備をしていた。

 6歳未満からの臓器提供は2010年の改正移植法施行後、3例目。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2015年01月15日 更新)

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