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大久保さん(岡山)乳がん認定看護師に おおもと病院 ライフサイクル応じ支援 精神的なケアにも力を

後輩の看護師にアドバイスする大久保さん

 国内で毎年3万人以上がかかり、日本人の女性に最も多いがんである乳がん。その看護のエキスパートとして日本看護協会の「乳がん看護認定看護師」が今夏、初めて誕生する。中国地方で唯一認定を受ける、おおもと病院(岡山市大元)の大久保茂美さん(40)に、乳がん看護の難しさや今後の抱負を聞いた。



 大久保さんは岡山県立短大看護科(現・県立大保健福祉学部看護学科)卒業後、乳がん治療で県内有数の実績がある同病院で二十年近くキャリアを積んだ。「臨床で学んだ乳がん看護を専門的に深めたい」と、千葉大に開講された乳がん看護の認定看護師教育課程を、昨夏受験し合格。一期生二十一人の一人として今年三月まで半年間、授業や実習など計六百時間の課程を修め、五月の認定審査に合格した。

 近く認定看護師の登録者として正式に発表される。

 研修で印象深かったのが、わが国のがん治療拠点である国立がんセンター中央病院(東京)での一カ月余の実習。ベテラン看護師も実習生に戻って、患者と接するうち「終末期だけでなく、治療が順調に進み自立しているようにみえる人も、実は大きな不安を抱えているのに気付いた」。患者の中には医師の治療説明に一度は納得しても、その後不安になって手術に踏み切れない人もおり「悩みをじっくり聞いて、情報を提供する必要性をあらためて感じた」という。

 乳がんは、多くのがんで治癒のめどとなる治療五年以降でも再発が起こりうるため、根治の目安を十年に置いている。手術後も外来で放射線治療やホルモン療法、抗がん剤による化学療法を続けることが多い。

 「治療経過が長いため、結婚や出産、仕事など患者のライフサイクルに応じ治療を続けられるようサポートするのが大切」と大久保さん。家庭や職場で中心となる四十~五十代の患者も多く「元の生活に戻れるよう支援したい」と語る。

 また「女性にとっては手術で乳房を失ったり、化学療法の影響で髪の毛が抜けるのはショックが大きい」と指摘、精神的なケアにも力を入れたいという。

 大久保さんは今後、おおもと病院で病棟担当の主任として患者の看護とともに、他の看護師の指導にもあたる。「皆で一緒に勉強して、チームでより良い看護を提供したい」と張り切っている。

ズーム

 認定看護師 日本看護協会の審査に合格し、特定分野で熟練した技術と知識があると認められた看護師。実務経験5年以上(うち3年以上は特定分野)の看護師が所定の教育課程を修了すると審査を受けられる。認定は5年間。特定分野は、WOC(創傷・オストミー・失禁)看護▽重症集中ケア▽感染管理▽がん性疼痛看護▽ホスピスケア―など17分野ある。登録者数は6月現在、1729人(岡山県26人、広島県32人、香川県20人)。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年08月12日 更新)

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