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胃がん内視鏡手術 電気メス改良 岡山大病院・河原医師 安全性向上

切除時の安全性を高めた改良型電気メス

 胃がん内視鏡手術の新手法「内視鏡的粘膜下層はく離術(ESD)」に使う電気メスを、岡山大病院の河原祥朗医師が改良し、実用化した。針状の「刃先」を腫瘍(しゅよう)側に向くよう回転させることで他の部分を傷つける恐れをなくし、安全性を高めた。

 ESDは、電気メスが付いた内視鏡を患者の口から入れて、胃壁(約十ミリ)内側の粘膜層にできた腫瘍をえぐるように焼き切る。従来はメスがむき出しで、誤って胃壁に穴を開ける恐れもあった。

 河原医師が考案した改良型は、先端が回る極細の管の外側に電気メス(長さ三ミリ)を装着。手術では管の回転と一緒に電気メスが回るため「刃先」を常に腫瘍側に向けることができる。このため、誤って胃壁を傷つける心配がないという。

 手術対象は従来、早期の段階に当たる直径二センチ程度(最大)だったが、河原医師は「改良型は切除時の安全性を高めたため、十センチ程度の大きな腫瘍でも切り取ることができる」と話している。

 ESDは開腹の必要がなく“体に優しい”手術である一方、医師に高い技術が求められる。河原医師はこれまで約四百五十例を手掛けた経験から改良型を考案。大手光学メーカーが六月下旬、販売を始めた。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年08月13日 更新)

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