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認知症高齢者を施設で一時保護 岡山市が体制整備

 認知症の高齢者の増加が見込まれる中、岡山市は25日、市内の特別養護老人ホームなどと連携し、身元不明の認知症高齢者を一時保護する体制を整えた。認知症が疑われる徘徊(はいかい)中の高齢者の保護連絡を警察から受けた後、家族らが見つかるまでの間、特養ホームなど高齢者福祉施設で最長1週間を基本に受け入れてもらう。体制整備は岡山県内の自治体で初めて。

 市はこれまで身元不明の認知症高齢者が見つかった場合、市認知症疾患医療センターを置く病院に搬送していたが、日常を過ごす場としては高齢者福祉施設の方が望ましいと判断した。

 市内の特養ホーム30施設と軽費老人ホーム1施設が協力。赤磐署を除き、市内の5警察署の管内ごとにある調整役の施設が受け入れ先をコーディネート。調整役を含む計31施設のいずれかで一時保護している間に市と警察署が身元を調べる。判明しない場合は市があらためて対応を協議し、一時保護期間の延長などを検討する。一時保護に要する費用は市が負担する。

 ただ、治療を必要とする疾患があったり、自傷行為や他人に害を及ぼすといった精神症状が認められたりした場合は一時保護の対象としない。

 市高齢者福祉課は「家族らと連絡がつくまでの間、身元の分からない認知症高齢者に心穏やかに過ごしてもらいたい」とする。

 市の推計では、市内の認知症高齢者は昨年3月時点で約2万人。団塊の世代が全員75歳以上になる2025年度には約3万人に増えるとみている。県警によると、認知症が原因で行方不明になったとの届け出が県内では昨年、213件あった。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2015年02月26日 更新)

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