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糖尿病薬にがん攻撃細胞活性作用 岡山大研究グループが解明

鵜殿平一郎教授

 岡山大大学院医歯薬学総合研究科の鵜殿平一郎教授(免疫学)らの研究グループは、がん治療への効果が確認されている糖尿病治療薬「メトホルミン」について、がん細胞を破壊するキラーT細胞を活性化させる作用があることを突き止めた。従来のがん治療法と併用することで、治療の効果が高まる可能性があるという。

 グループは、がん細胞を移植したマウスにメトホルミンを与えて実験。キラーT細胞を持つマウスのがんは小さくなったが、除去したマウスは小さくならないため、腫瘍を摘出し、リンパ球を解析した。その結果、キラーT細胞は通常、がん細胞を攻撃する過程で疲弊し、多くが細胞死に陥るが、メトホルミンがキラーT細胞を疲弊から回復させる仕組みが分かった。

 メトホルミンは一般的な免疫治療薬や抗がん剤などに比べ安価なのもメリット。鵜殿教授は「副作用や経済面からも患者にとって朗報。臨床研究の実現に向けて、研究を続けたい」と話している。成果は1月下旬に米科学アカデミー紀要電子版に掲載された。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2015年03月31日 更新)

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