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重症の母子救え! 岡山県、周産期医療体制を整備  県内2カ所に総合センター 死亡率大幅に改善

国立病院機構岡山医療センターに設置された母体・胎児集中治療室

 重い病気や早産などで集中治療が必要な赤ちゃんや母親の救命率を高めようと、県は本年度、周産期医療体制を充実させる。二十四時間、高度医療を提供する総合周産期母子医療センターに、二〇〇〇年の倉敷中央病院(倉敷市美和)に次いで、四月には国立病院機構岡山医療センター(岡山市田益)を指定。近く、岡山大病院(岡山市鹿田町)に開業医からの母子を受け入れるオープンベッドを確保してもらう。

 総合周産期母子医療センターは、重症の妊産婦や出生前の胎児の治療が行える母体・胎児集中治療室(MFICU)と、新生児集中治療室(NICU)の両方を整備。県は〇〇年十二月、新生児治療に実績のあった倉敷中央病院を指定した。

 同病院はMFICU六床と、中国地方では最も多いNICU十五床を持ち、年間約四百人のハイリスク新生児などを受け入れている。うち、千五百グラム未満の超低出生体重児は約六十人。救命率(無事退院できる割合)は87%と、指定前より10ポイントほどアップした。

 渡部晋一小児科部長は「センターに指定されたことで、ハイリスクの胎児を開業医から迅速に受け入れる態勢が整い、救命率向上につながった」と話す。

 指定以後、都道府県別の県内の乳児(一歳未満)死亡率は一九九九年の三十二位から〇三年は十三位、新生児(一カ月未満)死亡率は二十五位から四位、周産期(妊娠二十八週~生後一週間)死亡率は九位から二位にいずれも改善。この成果を受け、県は岡山医療センターを追加指定した。

 岡山医療センターはMFICU六床、NICU九床を設置。NICUは六月から十五床に増やす。県は、倉敷中央病院は県西部、岡山医療センターは県東部から患者を受け入れてもらう考えだ。

 一方、それほど緊急を要しないが、開業医で対応できない母子のためには、二十四時間受け入れ可能なオープンベッドを岡山大病院に開設することで、病院と開業医の病診連携を一層進める。

 県健康対策課は「少子化が進み、周産期医療の充実は時代の要請。救命に成功しても、何らかの障害を抱えた赤ちゃんや母親への精神面を含めたフォローなども検討していきたい」と話している。


ズーム

 総合周産期母子医療センター 医療の進歩で新生児などの死亡率が減少する一方、低出生体重児の割合が増加しているため、厚生労働省が各都道府県に最低一カ所を整備するよう求めた。今年3月現在、29都道府県で指定されたが、専門医の不足などがネックとなり、複数施設があるのは東京、大阪、岡山、香川など7都府県にとどまっている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2005年05月05日 更新)

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