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鉄運ぶタンパク質特定 川崎医科大岸教授グループ

岸文雄教授

 川崎医科大の岸文雄教授(遺伝学)、簗取(やなとり)いずみ講師らの研究グループは、ヒトの細胞内で鉄を輸送するタンパク質を特定した。鉄にくっついて動きを安定させており、生命維持に欠かせない鉄の代謝メカニズムの解明につながる成果として期待される。

 鉄は酸素を細胞に運んだり、細胞内でエネルギーを生み出したりする。不足すると貧血になる一方、過剰に蓄積されればがんなどの原因になるとされる。細胞への取り込みや排出は、細胞膜のタンパク質が関わっていることは分かっていたが、細胞内で移動する仕組みは未解明だった。

 岸教授によると、細胞内での鉄の動きには細胞に広く存在するタンパク質「PCBP2」が関与していた。細胞膜の内側でイオンの状態の鉄と結び付き、細胞内を移動後に排出役となる細胞膜のタンパク質に引き渡す。人体にとって負の作用を起こさないよう鉄をコントロールしているという。

 岸教授らは酵母を使い、細胞への取り込みや排出に関わる細胞膜のタンパク質を大量に培養。これに反応し、関係があるとみられるタンパク質をさまざまな種類の中から探したという。

 岸教授は「鉄代謝の仕組みが分かれば、鉄が関係して起きる病気の治療に役立つ可能性がある。さらに詳しく研究していきたい」としている。研究成果は、英国の生物科学雑誌に掲載された。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2015年04月15日 更新)

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