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特定タンパク質阻害で心筋梗塞抑制 岡山大グループラットで進行確認

研究成果を説明する高橋助教

 心臓の細胞膜にある特定のタンパク質の働きを阻害すると、心筋梗塞の進行が抑えられることを、岡山大の研究グループがラットを使った実験で確認した。心筋梗塞のメカニズムの解明や新しい治療法の開発につながる成果といい、同大大学院医歯薬学総合研究科の高橋賢助教(循環器生理学)が23日、発表した。

 心筋梗塞は、動脈が狭まったり血栓が詰まったりして心臓の血流が低下する病気。投薬やカテーテルを用いて治療するが、血流を再開した際に活性酸素が心筋細胞を傷つける「虚血再かん流傷害」が起きることがあり、治療の課題となっている。

 高橋助教らは「TRPM4」と呼ばれ、心臓の細胞膜に多く存在するタンパク質に着目。ラットにTRPM4の発現を抑制する化合物(阻害薬)を投与した後、虚血再かん流傷害を起こさせて実験したところ、心筋の細胞死は、投与しなかった場合に比べて4分の1程度に抑えられたという。

 培養した心筋細胞による実験では、阻害薬が活性酸素による細胞死を防ぐことも裏付けた。高橋助教は「心筋細胞が死に至るメカニズムの解明、阻害薬の副作用の有無などを調べる動物実験に取り組みたい」としている。

 成果は2日付米オンライン科学誌プロスワンに掲載された。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2015年04月24日 更新)

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