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黄ニラに口腔カンジダ症予防効果 川崎医福大・川崎医大グループ研究

山田作夫教授(左)と亀崎彩紗助教

 岡山県の特産黄ニラに、真菌(カビ)の一種・カンジダ菌を殺菌する効果があることを川崎医療福祉大、川崎医科大の共同研究グループが突き止めた。日常的に食べることで、カンジダ菌の異常増殖によって起きる感染症・口腔(こうくう)カンジダ症の予防につながる可能性があるといい、13日に京都市で開かれる日本顕微鏡学会で発表する。

 カンジダ菌は常在菌の一つで、口腔カンジダ症は口の粘膜や舌に白い苔(こけ)状のものが付着したり、粘膜が赤くなったりする。加齢や病気で抵抗力が弱まった人や義歯の利用者が感染するケースがあり、高齢化に伴い患者数は増加傾向といわれる。

 グループは抗菌作用を持つとされる食材のうち黄ニラ、青ニラ、ピーマン、米酢、タマネギなどで研究。それぞれ、すりつぶして抽出した上澄みと、培養したカンジダ菌で実験したところ、黄ニラが最も高い抗菌作用を示し、生きた菌の数は24時間後に10分の1、48時間後には1万分の1に減少した。電子顕微鏡で菌を観察すると細胞壁に凹凸があり、強いダメージを受けていたことが分かった。

 口腔カンジダ症の治療には通常、抗菌薬を用いる。口内では薬剤が効きにくくなる菌の集合体「バイオフィルム」が形成されることがあるが、黄ニラには形成率を2割程度抑制する傾向も見られたという。

 県の2012年の調査によると、県内の黄ニラの栽培面積は17ヘクタールと全国の7割を占め、生産量は85トンに上った。川崎医療福祉大の山田作夫教授(細菌学、顕微鏡学)は「抗菌作用を持つ成分物質の分析などを進めたい」、亀崎彩紗助教(栄養微生物学)は「食材の抗菌力を生かした加工食品の開発につなげたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2015年05月13日 更新)

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