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慈圭病院がストレスケア病床運用開始 快適環境で心身癒やす

ゆったりとした個室。シックな家具などが配置され、機能性にも優れる

大型テレビとソファ、ミニキッチンがある共有サロン。窓からは児島湾の眺望が開ける

(上)少しでも安らげる雰囲気をと、廊下には絵画が飾られている(下)清潔感と開放感あふれる廊下

 慈圭病院(岡山市南区浦安本町)は今月から、ストレスケア病床(8床)の運用を始めた。ホテル並みの内装を施した快適でプライバシーの確保された環境に身を置き、心身の疲れを癒やしてもらうのが狙いだ。岡山県内では珍しいストレス専用病床の特徴を紹介する。

 入院の対象となるのはいわゆるストレス関連性障害の患者が主。ストレスを原因として、憂うつな気分や不眠、不安といった精神症状、頭痛、肩凝り、疲労感といった身体症状が現れている状態である。

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 2月に完成したばかりの東館(300床)。専用のカードキーを使ってエレベーターに乗り込むと、誰とも顔を合わすことなく、ストレスケア病床のある最上階の7階へノンストップで到着した。

 フロアはクリーム色を基調とし、清潔感にあふれる。壁には淡い色合いの絵画。天窓が設けられ、陽光がフロア全体に降り注ぐ。

 部屋は全て個室で、廊下を挟んで南に2部屋(各21平方メートル)、北に6部屋(各15・5平方メートル)。南側の部屋からは児島湾、北側の部屋からははるかかなたに岡山市街地を望む。患者が少しでもリラックスできるよう、いずれもベッドはダブルサイズ。バス、トイレはそれぞれ独立させた。意匠を凝らした家具、備前焼の花器や絵画が上質感を演出する。

 プライバシーには特に配慮。フロアへは専用エレベーターを使用し、他の病床とは隔絶した構造。食事の提供時間、共用スペースの消灯時間以外に日課の決まりはなく、日中は外出も自由だ。

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 “ストレス社会”の言葉が象徴するように、近年、ストレスに起因する精神疾患の患者は増加の一途。慈圭病院でも、外来初診患者の約35%を占める。

 ストレスケア病床は職場や家庭などのストレス因子から解放し、静かな時間と休息の場を提供することで、早期の回復を促すことを目的とする。

 医師の診察や心理士の面談などの治療計画は個々の患者と話し合って決める。入院期間は短ければ1週間程度、長い場合は1~2カ月程度を想定。「十分休めたので頑張れそう」と考えることができるようになったころが退院のめどとなる。

 難波多鶴子病棟医長は「個々の患者が本来持っている回復力を引き出す場所にしたい」と話している。

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 入院する場合、保険適応外の差額室料が必要。室料は、部屋の広さに応じて日額1万円と7千円の2タイプある。

 問い合わせは慈圭病院((電)086―262―1191)。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2015年05月18日 更新)

タグ: 健康精神疾患慈圭病院

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